投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「柔らかな鎖」
【SM 官能小説】

「柔らかな鎖」の最初へ 「柔らかな鎖」 4 「柔らかな鎖」 6 「柔らかな鎖」の最後へ

「柔らかな鎖」-5

それから始まったことは、私にはとてつもなくショックなことだった。
 雪乃さんは裸になるとカウチにねそべった由布さんの上に跨がり、由布さんのものをゆっくりと体の中へ受入れていった。そして由布さんが
「雪乃、動いて」
と命じると、雪乃さんは腰を使い始める。だんだん感じてきたのか、雪乃さんは時々
「ああ……」
とか
「はあ……ん」
とか甘い声を出していた。そのうちに雪乃さんは腰の動きを早め、のどをのけぞらせて、
「ああ……イキます……」
と絞り出すような声で言ってから、体をビクビクと激しく震わせた。
 がっくりとうなだれて動きが止まった雪乃さんに、和明さんが
「雪乃、ちゃんと動きなさい」
と命令すると、雪乃さんは辛そうに、また腰を動かし始めた。すぐにまた、雪乃さんの声が切羽詰まった感じになり、体を震わせた。更に二度、三度。四度めが訪れる直前、雪乃さんは
「お願いです、由布さま。もう、もう……これ以上は…壊れ……て……しまい…ま……す」
と切れ切れの声で縋るように訴えた。由布さんが
「和明、どうする?辛そうだからもういいことにしてやれば?」
と尋ねると、和明さんは
「由布はそうやっていつも甘いんだよな……まあいいか」
と答えた。それを聞いた由布さんが、雪乃さんの体に下から腰を突き上げ、雪乃さんは
「ああ……」
と叫ぶように言ってから全身を震わせて、それから由布さんの上から降り、床にへたりこんだ。

 私は途中から正視できなかった。由布さんが、他の人と……嫉妬というよりは悲しみでいっぱいになって、涙がこぼれていた。由布さんは「ちゃんと見てないといけない」と言ったのに、到底一部始終を見つづけることなど耐えられなかった。
「響子、ちゃんと見てなかったの?」
 由布さんにそう声をかけられた時、私はとうとうわっと泣き出してしまった。
「響子、まだ罰は終わってないんだよ。ちゃんと僕のを後始末してくれないと」
 由布さんは相変わらずのあの静かな優しい口調で、とても残酷なことを言った。そこへ和明さんが
「だから由布は甘いんだよ。ちゃんと見てなかったんだからまた罰だよ、俺なら。っていうか、そもそも『見てろ』なんて罰になってないと思うが」
と口を挟んできたけれど、由布さんは笑って
「いいんだよ、響子は十分辛い思いしたんだから。まだ慣れてないんだし今はこれで罰になってるだろ?」
と言い返し、もう一度私に向かって、
「ほら、響子、ちゃんと命令に従わないと今度こそまた罰だよ」
と言った。また罰……また、今のような思いをしなければならないの? 由布さんが他の人としているところをずっと見つづけなければいけない、それを想像しただけで胸が痛い。
 私はやっとのことで気力を振り絞って立ち上がり、おしぼりを持ってきて、雪乃さんの漏らしたものと由布さんの放ったものとで汚れた由布さんのものをきれいに拭った。
「じゃあ、今日のセッションはこれで終わりだね、響子」
 由布さんはそう言って、私が服を着るのを手伝ってくれた。

 私がいつまでも泣き止まないのを見て、由布さんは悲しそうな声で
「響子、やっぱり響子には無理だったのかな……」
といいながら、私の髪を撫でてくれた。由布さんを悲しませてしまった……私は自分がものすごく許されないことをしているような気持ちになり、一生懸命に笑顔を作って、
「私は大丈夫です。ごめんなさい、由布さん、取り乱したりして」
と言った。由布さんはほっとした表情で、
「僕が愛しているのは響子だけだよ。何があっても、ね。だから僕を信じて」
と言った。『好きだよ』とはそれまでも何度か言われたことがあったけれど、『愛している』……そう言われたのは初めてだった。私が
「私も、由布さんのこと、愛してます」
と言うと、由布さんは私の髪を撫で、それからイタズラっぽい笑みをうかべて耳もとに口を寄せて
「響子は、僕に、入れてほしかった?」
と聞いた。私が恥ずかしいのを我慢してうなずいたら、由布さんはくすっと笑い、
「じゃあ、二つめの罰は『おあずけ』かな」
と言い、和明さんに
「じゃあ、和明、僕は先に帰るよ」
と声をかけて、二人で図書室を出た。


「柔らかな鎖」の最初へ 「柔らかな鎖」 4 「柔らかな鎖」 6 「柔らかな鎖」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前