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「柔らかな鎖」
【SM 官能小説】

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「柔らかな鎖」-4

某月某日
 初めての由布さんとのセッションから3日たった。この3日の間、由布さんは忙しいのか、学校で会ったときにほんのちょっと立ち話をする機会があっただけで、ほとんど会話らしい会話ができなかった。もともとつきあい始めてからもずっとそんな調子で、毎日会ったり電話したりというようなつきあいではなかったから、その意味では特に前と変わったわけではないのだけれど、やっぱりあんなことのあった後だから、少しは不安になってしまった。
 今日、やっと由布さんと話をすることが出来た。
 由布さんは私の顔を見るなり、
「忙しくてかまってやれなくてごめん。寂しかった? っていうか僕のほうが寂しかったけど」
と言って笑った。こういう時、由布さんはものすごく優しい顔になる。
 夕方、またこの前の図書室(本当に『図書室』と呼んでいるらしい)に連れていかれた。

「今日もセッションをするけれど、響子は大丈夫?」
 由布さんは形の上では私に質問をしているのだけれど、それは質問ではなく、既に命令だということに私は気がついていた。命令を拒否することはできるけれど、それは由布さんとの別離を意味する。もちろん私はそんなこと、考えもしないけれど。
「大丈夫です」
「じゃあ、始めるよ。この前と同じように、服を脱いで、僕のを大きくして、響子」
「はい」
 私は目を伏せて、由布さんが見ているのを意識しながら服を脱ぐ。2度めなので、この前よりずっと心理的な抵抗は薄らいでいるのだけれど、それでも下着をとった時には、無意識に手で大事なところを隠そうとしてしまった。そうしたら、たちまち由布さんから
「響子、だめだよ、隠したら。罰が必要かな?」
と言われてしまう。私は諦めて手を離し、床にひざをついて、カウチにもたれている由布さんのジーンズのジッパーを開いて中から由布さんのものを出し、そっと接吻する。由布さんのそれはこの前と同じように最初はまだ柔らかく縮こまっていたけれど、私がキスすると少しずつ芯が入ったようになってきて、それから熱く力強く脈うちはじめた。

 その時、背後で図書室の扉が開く音がした。
「え? 誰か来た……」
 私は思わず言葉に出してしまい、由布さんへの愛撫の手を止めてしまった。由布さんは
「響子、ダメだよ。さっきのだけなら大目にみてもよかったけど、2つになったら罰を与えなければいけないね」
と言って平然としているけれど、その間にも足音は背後からどんどん近付いてくる。私は心臓が止まりそうだった。
「やあ、和明。どうしたの、珍しい」
 私の背中越しに由布さんが声をかける。
「なんだ、先客って由布だったのか。俺は雪乃をちょっとお仕置きしに来たんだけど、ちょうどいい、由布、手伝ってくれ」
 和明さんっていう人と由布さんとは、まるで私の存在などないもののように会話をしている。
 由布さんは、何かを考え込んでいるような様子だったけど、やがて何かを思い付いたように、
「じゃあ、和明。丁度僕も響子に罰を与えないといけないんだ。僕のほうの罰も一度で片付けよう」
と言った。罰? お仕置き? いったいどんな……私は不安で一杯になった。

 由布さんは私に向かって、
「これから僕のすることをちゃんと見てないといけないよ、響子。でないともっと辛い罰を与えないといけないことになるから」
と言って微笑んだ。私はうなずくしかなかった。
 私は由布さんに命じられて1メートルくらい後ろに下がった。

 和明さんというのは、どこかで見たことのある人だった。多分大学で見かけたのだと思うけど。そばに清楚な感じの女性を伴っている。この人が雪乃さんなのだろう。
「じゃあ雪乃。由布にお願いしなさい」
「はい、由布さま、お願いします」
 雪乃さんは目を伏せたまま、さっきまで私が跪いていたあたりに立った。何をするのだろう、と思ってみていると、由布さんが雪乃さんに
「雪乃、僕の準備は響子がしてあるから、始めなさい。雪乃の準備は大丈夫なの?」
と言った。和明さんが
「雪乃はお仕置きと聞かされたときから準備OKだよ。まったく、これじゃお仕置きにならないよ」
と苦笑いをして、それから雪乃さんに向かって、
「始めなさい、雪乃」
と言った。


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