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「柔らかな鎖」
【SM 官能小説】

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「柔らかな鎖」-13

某月某日
 もう日記を書く必要もないんだけれど、でもどこかで吐き出さないといられない。
 由布さんと別れて、考古学のサークルも辞めて、私は毎日抜け殻のように生きている。抜け殻以下かもしれない。自分の意に反する、一番したくないことをし続けているのだから。

 毎日のように安野部長……もうサークルは辞めたから部長ではなく安野先輩か……に犯されている。いわゆるSMの調教っていうものがどういうものなのかよく知らないけれど、私がされていることがそうなのかもしれない。いろいろな格好で縛られ、いろんな道具で嬲られ、恥ずかしい言葉を言わされている。これを書いている今も、私は股に縄をかけられた状態でいるのだ。体は反応してしまうけれど、気持ちは……脅されて、従わされているという感覚でしかない。

 今日の夕方、私はサ−クルの部室の前の廊下で安野先輩を待っていた。もちろんその時も股縄はかけられたままだ。中では例会が行われていて、もちろん由布さんも出席していた。
 例会が終わって会員たちが出てきて、私の姿を見て露骨にイヤな顔をしていた。私は由布さんから部長に乗り換えて居辛くなってサークルを辞めたということになっているのだ。
 安野先輩より先に、由布さんが出てきた。由布さんは私の姿を見るなり、あの優しい顔で笑いかけ、それから例の物静かな口調で
「響子、ひさしぶり」
と言った。私は会釈するのが精一杯だった。由布さんは
「響子は今、幸せなの?」
と聞いた。私は答えることが出来なかった。目をまともに見ることができなかった。泣き出しそうだった。あと一言言われたら、多分由布さんに抱きついてしまっただろうと思う。
 由布さんは私の様子に気がついたのか、いままでに見たことのないくらいの悲しい顔をしていた。
 そこへ安野先輩が来た。私は
「響子、何してるんだ、行くぞ」
と腕を掴まれ、引き摺られるように安野先輩の後について行った。その後安野先輩にされたことについてはもう書きたくない。思い出したくもない。

 私は一体何をしてるんだろう。こんな状態でも生きていられる自分がわからない。


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