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「柔らかな鎖」
【SM 官能小説】

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「柔らかな鎖」-12

某月某日
 やっと気力を振り絞って大学へ行った。由布さんは私を見かけると飛んできて
「響子、どうしてたの?ずっと連絡とれなかったけど……何かあった?」
と優しい、心の底から心配そうな声で話し掛けてきた。私は
「ごめんなさい、由布さん……私、もう約束守れません」
と言うのが精一杯だった。もっとちゃんと時間を取って話そうと思っていたけれど、由布さんの顔を見るのが辛くて、辛いことは早く済ませないと決心が鈍りそうだった。
 由布さんは悲しそうな顔をして少し黙り込んだ後、
「わかった。仕方ないね、響子がそうしたいのなら」
と言っただけだった。
 私は泣かなかった。涙が出なかった。多分涙が止まらないだろうと思ってたのに……。
 あんまり悲しいときには、悲しいということさえ自覚できないものなんだな、と思った。


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