投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「柔らかな鎖」
【SM 官能小説】

「柔らかな鎖」の最初へ 「柔らかな鎖」 9 「柔らかな鎖」 11 「柔らかな鎖」の最後へ

「柔らかな鎖」-10

某月某日
 今日は「おひろめ」の日だった。「おひろめ」というのは、私を由布さんのものとして、由布さんの仲間に正式に紹介することだ。
今日が「おひろめ」だということは今朝になってから知らされた。雪乃さんが私のところに来て、
「今日は、『おひろめ』だからね。事前にレクチャーしてくれって頼まれたから、今日は授業さぼってずっとつきあいなさい」
って言われてしまったのだ。

 雪乃さんのレクチャーによると、こういうことだ。
 大学内には「裏サークル」と呼ばれているものがいくつかあって、その中にはSM愛好者のものもある。由布さんや和明さんが所属(?)しているサークルは、元々はそのSM愛好者サークル内の一派だったのだけれど、対立があってそこから独立したんだそうだ。
「簡単に言えば、SM観の相違、かな。たとえば普通のSMは、ご主人様が奴隷を縛ったりむち打ったり辱めたりするわけ。それによってご主人様は嗜虐の、奴隷は被虐の欲求を満たすんだけれども、和明さんや柿崎くんが思うのはそれとは違うものなのよ」
和明さんや由布さんの理屈はこうだ。普通のSMでは、アクションを起こすのはご主人様の側で、奴隷の側は受身だ。奴隷の欲求を満たすためにご主人様がなにかをする、それでは本末転倒だ、と。
「それで、ご主人様は命令を下し、奴隷はそれに従う、そういう命令/服従というか支配/被支配の関係を徹底したのが、いまのこのスタイルなの。どっちが正しいとか間違っているとかいうことじゃなくて嗜好の問題だと思うんだけど、向こうから見れば『そんなものはSMではない』ってことになっちゃうのね。それで、一緒にはやれないってことで独立したわけ。その時に、例の『3つの約束』も出来たんだけど、実はそれは『O嬢の物語』から拝借したものなのよ。まあ、『O嬢』には鞭も拘束もあるんだけどね」
「O嬢の物語」……高校の時に友達が回し読みしてたっけ。私はあまり興味なかったから加わらなかったけど。今度読んでみよう。
「柿崎くんがそういうのに凝る人で、あの洋館も柿崎くんの親戚のものらしいんだけど、図書室の雰囲気が『らしい』っていうんで頼み込んで借りてサークルに開放してるんだって」

「それでね、『おひろめ』は、サークルのメンバー全員の前で、いかに響子ちゃんが柿崎くんの命令に従うか、罰を素直に受けるか、を見せるわけ。まあ、実際は柿崎くんが全部命令するからそれに従えばいいだけなんだけどね。で、『おひろめ』が済んで正式にメンバーになったら、その後は他の会員も主人の許可を得てセッションができるのね。セッション中に関しては、他の会員の命令も主人の命令と同じ扱いになるの。この前みたいにね」

 由布さんに手をひかれて図書室に入ると、10人くらいの男の人と、7,8人の女の人がいた。その中には和明さんと雪乃さんもいて、雪乃さんは和明さんにぴったり寄り添っている。

 中央にある一番大きなテーブルの上に、いつもはないテーブルクロスというかシーツみたいな布がかけてあって、私はその上に座らされた。由布さんから
「じゃあ、響子、始めるよ。今日は大事な日だからね」
と声をかけられた。
 確か最初、「自分でイクところを全員に見せる」というのがあって、私が恥ずかしくてためらっていたら、由布さんに
「響子、罰が欲しいの?」
と言われてしまい、罰としてさらに2回イクまでさせられた。その後場にいた男性全員のものの準備をさせられ、何人かのものを飲まされ、その時に吐き出してしまった罰としてその人のもので貫かれ、最後に全員の後始末をした。
 誰かが帰り際に由布さんに
「ホント、由布のいった通り『宝物』だな」
と言った。多分これはほめられたのだろうと思う。由布さんもどことなく誇らしげな表情だったので、私はとてもうれしく感じた。

 全員が帰った後で、初めて由布さんの家につれて行かれた。
「今日は立派だったよ、響子。御褒美だからね」
 由布さんは優しく抱いてくれたあと、眠るまで抱き締めていてくれた。


「柔らかな鎖」の最初へ 「柔らかな鎖」 9 「柔らかな鎖」 11 「柔らかな鎖」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前