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おしの洞
【ホラー 官能小説】

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嗤う女-5

和尚にそう言われて村人も溜飲を下げた。
「仏にお仕え」と言われてしまっては、ぐうの音も出ない。
娘はその日のうちに寺へ移り住んだ。
男たちの落胆振りを見て女たちは笑いが止まらない。若い女たちは、今夜は亭主が自分を求めるかも知れないといそいそと風呂の用意をした。

和尚は寺の一室を娘に与え、水汲みや風呂の焚き方、雑巾がけなどを教えて行った。覚えるのに時間はかかるが、覚えてしまえば丁寧に仕事を進めて行くいい所もある。余計な知恵がない分、与えられたことは真面目にやるのだった。
掃除や風呂がうまくできるようになると次に飯を炊かせ、味噌汁を作らせた。
これはなかなかうまくならなかったが、和尚からすれば孫娘のような年であるから叱る気にもならず、次はうまくやれと言うだけだった。
何を言われてもにっこりと笑う娘の姿に、情が移るのは時間の問題だった。
娘が寺に来て三月。いよいよ村は冬を迎えた。雪に閉ざされ、長く寒い季節が続く。畑はできないから、男も女も笠やわらじを編んでは売りに出る。
力仕事がなくなり、退屈な時間が多くなればまた良くない考えが浮かぶのが人間の愚かなところだ。
「少しだけ、あれの様子を見に行かねぇか?」
そう言い出したのは、五つをかしらに子供が三人もいる男である。
「いや、和尚がいるしまずいだろうよ」
「ちょっと様子を見るだけだ。もう三月もあれの顔も見てねぇんだ」
すると若い男が口を挟んだ。
「あんたらは嫁さんがいるからいい。俺は一人もんで、あれが初めての女だったんだ。もう三月やってねぇんだ。毎晩こいつがやりたがって眠れやしねぇ」
と股間を押さえた。

雪を踏みしめ、寺への山道を登った。
庫裡にはぼんやりと明かりが灯っていた。三人の男は顔を見合わせると頷きながらそっと古びた庫裡に近づいた。
裏の方から湯を使う音がした。男たちの期待は嫌がおうにも高まる。これで入っているのが和尚なら笑い話で済んでいた。
三人は息を殺し、そっと背伸びして煙出しから中を覗き息を飲んだ。
狭い湯船の中で和尚と娘が絡み合うように抱き合っていた。和尚のしわだらけの手は、たわわな娘の乳房を揉みしだき、娘と激しく舌を絡ませていた。
口から首筋へ、そして胸へ。
「ほれ」
と和尚が言うと、娘は自分の乳房を掴み和尚の口へと押し付けた。
「あの、じじい」
一人が思わずつぶやいた瞬間、娘はゆっくりと流し目をこちらに向けた。そして、にんまりと笑った。和尚はまったく気づかず、夢中で乳を吸っている。
三人の男たちの怒りは一気に爆発し、怒声を上げながらどかどかと庫裡へと乗り込んで行った。
「な、なんじゃ、おまえら」
「やかましい!この生臭坊主が!!なんでてめぇ、これと乳繰り合ってんだ!」
「今までわしがこれに食わせて来たんじゃ。一緒に風呂くらい入って何が悪い」
「これは元々俺たちのもんだったんだ!それを手出しするなと寺で預かったのに、結局てめぇが好き放題してるんじゃねぇか!村に返せ!俺たちの女だ!」
「馬鹿を言うな!わしが引き取ったんじゃ、わしの娘だ」
「なんだと?」
一番若い男が叫びながら和尚に掴みかかり湯船から引きずり出した。近くにあった手桶でめちゃくちゃに殴りつけた。二人の男も釣られるように足蹴にし、一人は首に手をかけた。

和尚はぴくりとも動かず洗い場に横たわっている。
男たちは肩で息をしながらそれを見下ろしていた。娘は湯につかりながらぼんやりと宙を見ている。
「どうする……」
「どうするたって、おめぇ」
「どうせこれは何も言えねぇ。このまま裏山から和尚を投げ捨てちまおう。見つかるのは雪が溶けてからだ。薪拾いに行って、足を滑らせたって……」
「そ、そうだ。和尚が悪りぃんだ。これを独り占めしやがって」
三人で和尚を運び出し、裏山の崖から投げ捨てた。
汗だらけになって庫裡に戻ると、娘はすっかり寝間着に着替え床を延べているところだった。隣には布団がもう一組。和尚との仲は明白だった。
「おい、さっきのことは忘れろ。また俺たちが食わしてやるからな、みんなで可愛がってやるからな」
「そんなこと言っても、これは知恵足らずなんだからわかりゃしねぇよ」
腹が減っているのにご馳走を目の前にして手をつけぬ者はいない。三人は目配せすると、一斉に娘に襲い掛かった。


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