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おしの洞
【ホラー 官能小説】

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嗤う女-4

二年もすると娘の体は、すっかり大人になり着物上からでも形良く張った尻や胸がわかるようになっていた。
最早娘のことは公然の秘密となり、初めこそ面倒を見ていた女たちは揃って娘を憎むようになった。亭主共が自分をほったらかしにして、この娘に入れ込んでいるからである。
娘が川で行水すれば男たちが群がり、目を覆うばかりの痴態を繰り広げる。
娘は声を上げることはなく、それでも恍惚とした表情で男の背中に爪を立てた。
後ろから突かれ、口には別の男の一物を咥えさせられ、その後ろには股間を押さえて「早く変われ」と男が並ぶ。
男を知りすぎた娘の体はすでに年齢の何倍も熟しており、桜色だった乳首は赤い実のようにぷっくりと大きくなっていた。
ある日の日中には、女たちがどかどかと小屋へやって来て娘を罵り、平手でしたたか顔を叩き、髪を引っぱって引きずり回した。
「おめぇなんか死んじまえ!この売女が!」
「おめぇのせいで、うちの父ちゃんはちっともあたしに触りゃしねぇ!自分の子供に見向きもしねぇ。昼真っから、おめぇのとこに来ることばっかり考えてやがって、畑も満足にしやしねぇ!おめぇのせいだ!」
この時ばかりは、地主は通りかかった振りをして止めに入った。
女たちの言うことにも一理あるが、そもそも物で釣っておもちゃにした男たちが悪い。
「地主さん!あんたがどうにかしてくれ。元々あんたが育てようとした娘じゃねぇか。こんな性悪な女、村から追い出しておくれよ」
他の女たちもそうだそうだと頷く。まだ若い女は所帯を持ったばかりなのに、夫が娘にのめり込んで床に入っても指一本触れないと泣く。
「これじゃあたいは子供もできねぇよ。なんのために嫁に来たんだよ!」
再び娘に掴みかかるのをやっとのことで止めた。
「確かにこれは俺が育てようと一度は引き取った娘だ。うちの娘があんな死に方をして、俺もかかぁもこれを憎んだが、考えてみりゃあこれも気の毒な娘だ。
死んだおっかさんから生まれて、口もきけねぇし頭も足りねぇ。おめぇたちの言い分もわかるが、俺はこれには近づくなと言ったんだ。ここまで育ったものを殺すのは寝覚めが悪い。これは俺がなんとかするから、もう二度と近づくんじゃねぇ。今度近づいたら、その家は八分にするぞ。いいな。帰って父ちゃんにもそう言っておけ」
女たちは不服そうな顔をしたが、渋々小屋を後にした。娘は白い足をむき出しにして無表情のまま座っていたが、地主と目が合うと目を潤ませ地主の足に絡みついて来た。
「おめぇは罪作りな娘だ」
娘の手を振り払うと小屋を出た。

さっそく村では寄り合いが開かれた。
娘を今後どうするかについての話し合いだった。女同士は総じて村から追い出せばいいと言ったが、男たちは口にこそ出さないが不服そうな顔をしていた。
そもそも、この小さな集落で娘に手を出さなかった男はいるのか。子供を除けばほとんどの男たちが娘を抱いていた。驚くことに足腰が悪いと畑にも出ない爺さんまでが手篭めにしていたと言うから、地主は呆れて開いた口が塞がらない。
「うちらだって食うのが精一杯なんだから、これ以上あれに飯を食わせるなんてできねぇよ」
五十を過ぎた女が言うと、そうだそうだと他の女たちが大きく頷く。
「そう言っても、初めはおめぇらがあれに着物着せて飯も運んでたじゃねぇか!ちょっとあれに手を出したからって追い出せだの、殺せだの女はおっかねぇ」
男も負けずに言い返す。
「そんなこと言って、ただあれを抱きてぇだけだろう!何したって嫌がりも、声も出さねぇ娘っこだもの。おめぇら、どれだけ浅ましい真似したんだ」
「あれがいるから、俺らは昼間の畑仕事も力仕事もやって来たんだ。あれは村の男の楽しみだ。ああ、天女みてぇなもんだ。なんだってさせてくれっからな」
「何言ってんだ、この助平が!!」
そこでまた乱闘騒ぎになる。
確かにこのままあの娘を置いておけば、夫婦別れも出てくるだろう。
「まぁ、待て待て」
それまで話を聞いていた寺の和尚が声で割り込んだ。
「女衆の言い分はもっともだ。けど、殺すってのはいけない。この村は小さいが、今まで罪人なんぞ出したことのねぇのが自慢の村だ。男衆もあれの色香に迷っただろうが、あれはまだ子供で知恵足らずだ。弱みに付け込むのも良くねぇ。どうだろうか、あれを寺に預けねぇか。水汲みや、掃除洗濯くらいは出来るだろう。うちの寺には小僧もいないし、あれが手伝いになればわしも助かる。仏にお仕えして今までの汚れを清めて、せめて真っ当な娘にしてやろうじゃねぇか」



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