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おしの洞
【ホラー 官能小説】

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嗤う女-7

宿の女は汗で張り付いた髪を払いながら途切れ途切れに話を聞かせてくれた。
「娘が閉じ込められてからも、村には不思議なことが続いたの。年に何人かの男たちが、行方知れずになってしまったんだって。娘の呪いだって、言う人もいたみたい。わからないけどねぇ」
男は快楽に溺れ、部分的にしか話を聞いていない。朝になったらもう一度聞かせてもらおう。いや、何度だって聞ける。
そのたびにこの体を抱き、抱かれ。どうせ夏休みだ。1〜2泊伸びたところでどうと言うことはない。
滞在中ずっと、この女と過ごそう……。
「あっあっ、ああ……」
男が腰を振るたびに、女は甘い声を漏らした。
「俺、もういく……」
「ああ、そうね。いいわよ、来て。そのまま、あたしの中に……大丈夫、あたしは子供ができないから」
うっ、と声を漏らし男はその言葉に誘導されるように射精した。体を離すと男はごろりと仰向けになり息を荒くした。
「よかった?」
「うん、よかった」
女はだらだらと精液を流しながら男に覆いかぶさり、まだ呼吸の荒い口に吸い付いた。
「あたしもよかった。久し振りだものねぇ」
男は心地よい疲労感の中で眠気を覚え、そのまま眠り込んだ。
「お客さん、まだ話は終わってないのよ。それでも娘は死ななかった。だって、あの洞穴の上には風穴があってね。それを見つけた男たちは、あたしに精を注ぐために何人も、何人も通いつめたからさ。あたしは、次の男が来るのが楽しみで仕方なかったよ。骨になっちまったら、やるどころか話し相手にもなりゃしないもの。あたしはね、お客さん。食い物なんかなくたって生きていけるのさ。男があたしを抱くたびに、あたしの命は延びて行くんだからねぇ」

レポーター
『東京都○○区に住む○○大学の学生×××××さんが、旅行に出たまま行方不明となり1週間が経過しました。××さんは卒論のために伝説を調べに行くと友人に話しており、○○県に来たところまでは確認が取れています。本人のSNSには「やっと現地に着いた。滞在中にできるだけ資料を集めて帰る」と言った書き込みがあり、親しい友人には3日程度で戻ると言っていたと言う事です。現地に着いた日に本人と思われる人物がビジネスホテルに予約を入れたそうですが、宿泊はせずキャンセルの連絡もなかったとのことです。××さんの携帯は電源が切れている状態で、GPS機能も使えず家族からの依頼で今回公開捜査に踏み切りました。今後は事件事故の両面から警察が行方を捜すと言う事です』

資料館の女子事務員(音声は変えています)
『おしの洞に行きたいからって、言われて行き方を教えました。何もないところですよって伝えたんですが。はい、村のはずれにあって、バスも早く終わってしまうし。第一あの辺には人も住んでいないんで。地元の人も滅多に行かないですね、いい場所ではないんで。
普通の学生さんて感じで、自殺とか考えているようには見えなかったです。迷うほど深い雑木林でもないですし……』

終わり


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