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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-37

―君は俺から離れる事は出来ない。根拠は君と俺の中にある―
心の中に誰かの声が響いた。

―レイラ、君は最高のパートナーだ―
レイラ??それは私の名前なのだろうか。

とても懐かしい声のような気がする。

―レイラ愛している―
これは夢なのだろうか。そうだ、きっと夢を見ているのだろう。
でも何故なのだろう。この声が誰のものなのがわからないというのに、涙が溢れ出してくる。

思いだしたい。この声は誰のものなのか。

だが考えるだけで頭が割れるように痛む。
私の頭が願いとは裏腹に思い出すことを拒否しているかのように…。



目覚めた時、私は何処かの病院のベッドに寝かされていた。白で統一されたその場所はとても居心地がいい。
―コンコンッ
部屋のドアがノックされる。
「気が付いたか。」
少し小肥りにも思える中年の男が部屋へと入ってきた。その声には父が娘を見るような優しさがあった気がする。
「君は2日眠っていた。覚えているかね?」
私は頭が急に思考を取り戻すのを感じた。
そうだ、目の前にいるこの人は私の上司、永井だ。
確か私は強襲の際フールに撃たれ、倒れたのだ。その後の記憶は全く無い。強襲は成功したのだろうか?
社長がフールによって無きものとされた以上、フールかアゲハの確保に成功していなければダークネスの密造地を突き止める事は出来ない。
『組織の人間の確保は無事に成功したのですか??』
私はベッドから飛び起き、永井に詰め寄った。
「落ち着くんだ。君にはきちんと説明する。ただ、それは今ではないのだ。」
『ではいつ聞けばいいのです?!』
「まずこれから食事を取り、その後という事になるだろう。」
永井は私をなだめるように言った。
「それと、君が目覚めたらすぐに、これを渡す様に頼まれている。」
永井が差し出したそれは黒い革で出来た何かのケースのようだった。
「INCのエージェントからだ。わたしとの話が済み次第エージェントとも面会となるだろう。」
永井が部屋を後にすると、看護師によってすぐに食事が運ばれてきた。
白米の粥に漬物、病院食にしても随分質素な物だが、誰も私の胃がすぐに食べ物を受け入れるとは考えていないのだろう。
事実、私の胃は全く食事を受け入れる事が出来なかった。
減っていない膳を看護師が下げて行くと、私は永井を待った。

「食事に手をつけなかったそうだね。」
永井は部屋に現れると言った。
『ええ。』
永井からの報告で全てがハッキリするであろう。蓮が生きているのか、死んでいるのかも。私は再び酷い喪失感を感じた。
「では始めようか。」
永井はベッドの横にパイプ椅子を開いた。


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