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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-31

逃げ出したかった。が、同時にとどまりたかった。蓮を求めている。体だけでなく、心も。
蓮は全裸にした私の体を1つ1つ調べていった。
「アザも消えてきたな。」
以前チェチェン人に蹴られてできた私の背中のアザの事を言ったのだった。
そう囁くと蓮はまだうっすらとアザの残る背中に何度もくちづけをした。
明日、私達は終りを迎えるだろう。だからと言って蓮の存在を捨てられる訳ではなかった。
たとえ蓮が司法取引に応じたとしても、もう私が会う事は許されないだろう。にもかかわらず、気持ちはかわらない。
かえられない。
かえられる程簡単な気持ちではない。
どうすればいい?
蓮は私の体の隅々にまでキスをした。所々で私の感じる場所を見付けては執拗にその場所を責め、私をあえがせた。
蓮が私の足と足の間に顔を埋めた時、私はこれ以上の思考が出来なくなった。
蓮の舌によって与えられる柔らかな刺激は私の腰を浮かせ、頭の中はただ快感を求める事だけが浮かぶ。
蓮は私に、蓮への愛撫をさせようとはしなかった。私を極限まで悶えさせ、その様子を見て楽しんでいるかのようだった。
蓮は巧みに舌を操りながら、指で私の中を持て遊んでいた。面白いほど敏感になる私の反応を見ると、時たま笑顔が蓮の目に浮かぶ。
充分過ぎるほどの愛撫を受けた私の秘所は蓮を欲した。だがそれは蓮も同じだった。
そして蓮は私と己の欲望を満たす為に、私を貫いた。
優しい侵入だった。だがその強い快感に私は蓮の体を引き寄せていた。甘いうめき声をたて、さらに奥深く求め、許しを乞うた。
「綺麗だ。」
蓮が目を細め、私に言った。
『綺麗なんかじゃない。』
私は言った。
「君がいくら否定しても、君が美しいという事実は揺るがない。君の姿に偽りは無いんだ。」
それは違う。わかっていた。
偽りや欺きは自分の中にある。嘘をついたのは自分であって、蓮ではない。
なのに失ったのは自分のような気がしてならなかった。
とめどなく涙が流れ、蓮はそれを唇で拭った。
『愛して。』
私は呟いた。
『もっともっと、愛して………。』


品川のホテルを出たのは午前4時を過ぎていた。隣で眠る蓮を起こさないように私は部屋を後にした。
ホテルの地下駐車場からポルシェ出し、12時間後の自分の姿を想像した。
運が悪ければ死ぬ。良ければ生き残る。
ただ、どちらにしても蓮の姿は隣にはない。
私はそのままあてもなくポルシェを走らせた。
もう朝が明ける。蓮と海で一緒にみた朝日はあんなに綺麗だったのに、今日の朝日はくすんで見える。
そして日もすっかり昇りきった頃、私は青山のホテルへとポルシェを向かわせた。ホテルへと着き、フロントで預けておいたキーを受けとると、私の携帯が鳴りだした。
蓮だろうか??
しかし、予想は外れていた。私の携帯を鳴らしたのはアゲハであった。ちょうどいい。今日は納品に行けない事を伝えよう。
『はい。』
<レイラさん、悪いんだけど、今日は品物の受取り出来そうにないんだ。だから納品は中止して!>
これは偶然なのだろうか。アゲハの都合の悪い日と重役会が重なるなんて…。
まぁ詮索した所でアゲハはその理由を話してはくれないだろう。
だが私はアゲハも重役会へとくるのではないかという漠然とした予感のようなものがあった。


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