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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-3

今日もその決心に従い行動している。
カウンターのストゥールに腰を下ろしアビニョネージのグラッパを頼む。
ボックス席を挟んだ後ろからはカジノの音が聞こえてくる。
グラッパをグラスから半分程減らすとカウンターに右手を使って頬杖をつき、空いている左手で髪をかき上げる。そして何気無く店内に視線を走らせ、ある男を探す。その男は黒髪のチェチェン人で、日に一度必ずこの店を訪れては客を探すという。
それらしい男が店内にいない事を確かめるとメンソールの煙草に手を伸ばす。火を探すためにバックに手を挿し込もうとすると不意に横から火のついた金色のデュポンが差し出される。
「1人でこんな所来てなにしてんの??」
ライターを差し出したブロンドの髪の男がそう言った。
『ちょっと探し物なの。』
「へぇ〜、それってこうゆぅもの??」
そう言って腕に注射器を射す様な振りをする。
『まぁ似たような物ね。』
「ちょっと上に行こうか。」
このカジノバーの2Fから上は個室になっている。私は黙って男に従う。
個室の前まで進むと男は止まり、個室の中を指差し下へと戻って行った。個室の中には人の気配がある。おそらく、さっきの男が客を選び、個室の中にいる人物が商談に応じるシステムなのだろう。この場から離れるのは実際にこの目で情報の真意を確かめてからでも遅くないだろう。
個室のドアをノックすると
「入れ。」
と男の声がした。私が声の主に従いドアを開き個室に入ると、そこには一人の男が私に背を向けてソファに座っていた。
『私の捜し物がここにあると聞いてきたんだけど??』
私の問いに男が答える。
「あるさ、麻取りの姉ちゃん!!!」
そう行って振り向いた男に私は見覚えがあった。
忘れるはずがない。その男は私が麻薬取締官になり、周囲の反対を押し切って現場に立った後、最初に複数の違法薬物所持で摘発し、ビザが切れていた男の出身国であるチェコへと強制送還した。
『戻ってきたの?』
動揺を一切隠し男に言葉を向ける。
「そうさ。お前に一泡吹かせてやりたくてな。女になんか捕まったせいで国に帰っても俺は笑い者だ。」
訛りのある英語で答えた。
『無理せずロシア語で話なさい。』
「バカにしやがって。さて、どう料理して欲しい?」
そう言った男は私に拳銃を向け、撃鉄を起こし、トリガーに指をかけた。
『マカロフのコピーね。そんな玩具出してどうする気?』
「死にたくなかったら言う事をきくんだな。持ち物を全て床に置け。」
私は言われた通りにポケットから携帯、財布、煙草を取りだし床に置く。持ち物は他にもあったがそれは隠しておかなければならない。逃げ出すチャンスを見い出す為に。
「服を全て脱げ。」
『シャワーを浴びてからにしない??』
少しでも隙が出来ればと思いそう口にした。
「必要ない。女の匂いが好きでね。脱げ」
有無を言わせない口調だった。それに私が言う事をきかなければ男は間違いなく拳銃で私の頭をぶち抜き、それからつっこむだろう。
私は自分の服に手をかけた。
男に飛びかかれる位置ではなかった。相手も小物ではあるが犯罪者。拳銃の扱いに慣れている所をみると、私の手か足が届く前に2発はぶちこまれるだろう。隙を伺うにはレイプの瞬間を待つ他ない。
全ての服を脱ぎ終えると男は笑った。
「腕のナイフも外すんだ。」
隠していた最後の持ち物も奪われてしまった。男は相変わらず薄笑いを浮かべていた。
「右手首と左の足首だ。前からはめるんじゃない。うしろからはめるんだ。」
そう言うと強化プラスチックでできた手錠を私に投げた。
私はまず左の足首に手錠をはめた。それから後ろに回した右手首にはめる。立っているのが難しく、しゃがむ形になった。
「四つん這いになれ」
私は言葉に従った。とたんに強かに背中を蹴られ、床へと転がった。息が詰まりあばらが痛んだ。そのあばらの上に男の土足がのった。
「いい眺めだ。」
男は私を見下ろしながら、スラックスのベルトに手をかけた。


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