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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-29

『それについて確実に知っていると思われるのは組織の社長と呼ばれる者1人です。組織内の人間に対しても酷く情報開示に閉鎖的な事の表れでしょう。その為摘発の際は社長の身柄確保が何よりも重要となりますが、一部情報では社長の命はもう長くないとされています。』
<密造地を話す前に死なれては困るな。だが生きたまま確保できれば病気の治療という条件での司法取引をちらつかせれば…。>
永井は考え込むように息をついた。
『万が一その保険として、他2名の身柄を抑えて欲しいと考えています。うち1人はアゲハです。』
<例の少女か…。>
『ええ、以前にもご報告した通り彼女は密造地の情報で組織を脅し、ダークネスを手に入れている可能性があります。もう1人はフールというロシア系の男です。アゲハの話によれば、この男は社長に最も近い秘書の様な存在だといいます。社長の代わりに組織内全般の管理等もしているしているであろう事から、密造地の情報も知っている可能性があります。』
<わかった。INCのエージェントたちにも伝えよう。>
『どちらも未確認ではありますが、よろしくお願いします。』
その後永井は、今後24時間体制で私の携帯のGPS情報を監視する事、摘発の際はINCと日本政府が合同で重役会を強襲する事になるであろう事、その強襲の際のセーフカラーは青である事を私に伝えた。
『わかりました。では重役会に出席する際は必ず青を身に付けておきます。』
<出来る事ならば、君は巻き込まれる事がないよう、どんな理由をつけてでも現場から離脱してくれ。もし、離脱に失敗し、セーフカラーの確認も不可能な状況に陥った場合は合言葉を告げろ。合言葉はヴァイオレット。>
『ヴァイオレットですね。』
私は確認し告げた。
『では重役会に赴く際、一度私は携帯の電源を切り、15分後に再び電源を入れます。。従ってそちらで確認しているGPS情報も15分間途切れる事になりますが、それが重役会の行われる合図とさせて頂きます。』
<了解した。その後GPS位置が止まった場所が重役会の現場ということだな。>
『はい。』
<わかった。君の健闘を祈る。>
永井は心からそう言ってくれた気がする。
『ありがとうございます。では。』
<あぁ、君の任務終了後に会おう。>
携帯を切ると、永井の最後の一言が心に響いた。
―任務終了後に…。
私のこの潜入は任務として認められているのだろうか。
もしそうだとすれば、永井が上への説得に並々ならぬ努力をしてくれたに違いなかった。

その後私はホテルから程近いデパートへと向かい、ゆったりとした黒のパンツスーツと青のスカーフを買った。重役会の為にだ。
そしてその足で蓮の待つ品川へと向かった。
ホテルの部屋には既に蓮が来ていて、私を迎えた。
夕食は済ませたかと訊く蓮に、私がまだだと答えると蓮はホテルのレストランに誘った。
ロビーのすぐ横にあるフレンチレストランで私と蓮は向かい合った。
「この何日間かで何か変わった事はなかったか?」
『そうね、やたら私になついてくれる2人がいるわ。』
フールとアゲハの事だ。
「まぁ、その辺は適当にあしらうのが得策だろう。」
『あら?あなたの事もあしらっちゃっていいのかしら?』
「構わないさ。だが、君は俺から離れる事は出来ない。」
蓮の口調は自信に満ち溢れていた。
『随分根拠に乏しいお話ね。』
「根拠は俺と君の中にあるのさ。」


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