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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-26

おそらく輸出用のダークネスは日本全国からタンカーや小さな貨物船で外国へと送られている。
細かく分けて運ぶのは運搬中の事故や不足の事態でのダークネスへの被害を最小限に抑える為だろう。
『OK、じゃ行ってくるわ。』
「あぁ!お待ち下さい!これが納品時の連絡先です。着くまでには連絡を入れて下さい。」
私はメモを無言で受取り、トラックを発進させた。そしてこれまでの2回は蓮とフールが行っていたアゲハへの連絡を入れる。


昨日とはうって変わった落ち着いたアゲハの声が応えた。
『レイラよ。これから納品、場所は??』
<今日はレイラさん1人なの??>
私が直接連絡を入れた事でアゲハはそう考えたようだ。
『ええ、何か問題?』
<ううん、女同士だから嬉しいなって。>
『そう、今までの担当者はみんな男だったの?』
私は少しでもアゲハや組織の情報を引き出そうと思い、そう尋ねた。
<そうだよ。どこの国の奴なのかもわからないような不審な男ばっか!みんなあたしを見下してるような奴で大っ嫌いだったんだ!>
『男に見下されるのは嫌い?』
私はアゲハの言葉に自分を重ねた。
<許せないね!女だから男に劣るなんて有り得ない!!>
『そうね。どうやらあなたとは気が合うみたい、会ってゆっくり話さない?』
アゲハは私の誘いに乗る、確信があった。
<レイラさんからお誘いなんて嬉しい!いいよ!じゃぁあたしん所まで来て。>
そう言うとアゲハは池袋近辺の住所を告げた。
『30分で行く。』
<待ってるよ。>
蓮の話によれば、アゲハはダークネスの密造地の情報を握っている可能性が高い。うまくすればその情報を手に入れる事が出来るかも知れない。

アゲハの指定した住所はオートロックの高層マンションの最上階。18やそこらの少女がここを塒にしているのは信じがたかったが、これもドラッグが彼女にもたらしたものだろう。

従来のオートロックの様にロビーでインターホンを押し、アゲハがロックを外すのを待つ。
<エレベーターで一番上まできて。>
アゲハの声がして、自動ドアのロックが外される。私はその声に従いエレベーターに乗り込んだ。しかしエレベーターにあるはずのボタンのようなものはなく、住人の操作がなければエレベーターも動かない構造になっているのだろう。
厳しすぎる程のセキュリティだ。
目的の階へと着き、エレベーターのドアが開くとそこにあるはずの廊下はなく、ソファで寛ぐアゲハの姿があった。アゲハは静かにいった。
「ようこそ。」
驚いた事にこの最上階のフロア全てがアゲハの部屋なのだ。従って、エレベーターはアゲハの部屋のリビングへと直通に作られていた。
「座って、コーヒでいい?」
『ありがと』
頷くとアゲハはキッチンへと向かった。
「レイラさ〜ん、今日はどうして1人なの〜?」
リビングとは区分されたキッチンから叫ぶ様な声が聞こえてくる。私はアゲハがコーヒーを手に、リビングへと戻ってくるのを待って答えた。
『トラックジャッカーが排除されたの。』
「なぁる!昨日はフールまで出てきてたから、どれだけ深刻な状況なのかって心配しちゃった。」
彼女はフールの名を口にした。2人は昨日以前にも面識があったのだろうか。
『フールもあなたの担当だったの??』
「レイラさん知らないの?あいつは警備や警護の人間だよ。」
『警護?』
意外だ。私は、てっきりフールも流通に関わっている人間だと思っていた。
「そっ!社長の身辺警護とか。まぁ警護ってゆーより秘書みたいに見えたけどね〜。」
アゲハは茶化すような口調で言った。


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