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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-25

―蓮…。あなたとはもっと違う形で出会いたかった……。


その後私は、今日フールと過ごした間の出来事を全て蓮に話した。
蓮は相槌を打ちながら私の話を聞いた。
『余計な真似してごめんなさい。本当ならトラックジャッカーの処理はあなたの仕事だったのに。』
「いや、かまわないさ。君だからこそ可能だった方法だろう。」
私は暫しの沈黙の後言った。
『怒ってるって聞いたから…。』
「随分弱気だな。普段の勝気な君からは想像も出来ない。」
私はそれほど蓮を失う事を恐れていた。
「ヤキモチを妬いていたのさ。君と一緒にいたフールに。」
それは明らかに冗談と分かる口調であった。
『嘘つき。』
「ならこれは嘘じゃない。レイラ、君を愛してる。君の総てを俺のものにしたい。」
そして蓮は私に優しく口づけをした。

―蓮……、あたしの命はあなたのものよ。
たぶんココロも……。―

「本当ならここで君を抱きたい。だが、もうじき朝だ。帰ろう。」
きっと私は蓮がこの場で私を抱こうとしても拒まなかった。
だがここは蓮の言葉におとなしく従い東京へと帰る事にしよう。
『こんなデートも良いわね。』
私は砂浜から舗装された道路へと上がろうとする蓮に言った。
「そうだな、またこよう。」
私達がこの場にとどまった時間はわずかではあったが、心の中には、互いに何か大きな物を得た様な充実感があった。



再び東関道と常磐道を乗り継ぎ東京へと戻った蓮を待っていたのは築地の倉庫でのハードな事務仕事だった。
『さすが部長、お忙しそうね!』
そう皮肉たっぷりに言った私は、蓮があの砂浜で私を抱かなかったのは東京での仕事の事が頭にあったからだと気付いた。
労いの言葉を期待していた蓮に
『女も抱けない程忙しいんじゃ、出世も考えものね。』
そう言い残し、私は青山のホテルへと帰った。

ルームサービスで軽い食事を済ませ、足りない睡眠時間を補おうと考えていた。
しかしそれは叶わず、私にも仕事の呼び出しがかかってしまった。
蓮の部下からの電話は私にアゲハへの納品を要求し、至急倉庫まで呼びつけた。
トラックジャッカーが排除されたお陰か、流通部門は今までよりも効率よく納品の配送をする事になるようだ。
睡眠を諦め、私は築地へと向かった。倉庫にはさっきまで事務仕事をこなしていたはずの蓮の姿は無く、代わりに忙しそうに書類と睨めっこをする蓮の部下の姿があった。
浅黒い肌に黒い髪、30代前半位の背の低い男だ。
『あなたの部長は??』
「睡眠時間が足りないと言ってお帰りになりました。」
私は溜め息を1つ残すと納品の仕事に取り掛かった。今日のパートナーは無し。トラックジャッカーが排除された以上、交戦の危険性はほとんど無いし、他のドライバー達もそれぞれ納品に忙しい様だった。
『他のトラックはどこに品物を運んでいるの??』
私は蓮の代わりに事務仕事におわれている男に尋ねた。
「え〜と、勝浦、大洗、気仙沼、大阪、山口、新潟、もうあちこちですね。かなり細かく別けて輸出していますので。」
そう言うと男は再び書類との睨めっこへと戻った。


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