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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-20

完全に素人だ。プロならばトラックに乗っていた人間の生死を確かめないはずはない。
トラックジャッカー達は保冷庫を開け、アタッシュケースを外へと運び出そうとする。しかし、4人が倉庫から出る事は叶わなかった。
突然鋭い閃光がはしったかと思うとアタッシュケースが爆発した。
私はこんな仕掛けは施していない。
ケースには大量の爆薬が仕掛けてあったのだろう、4人の生死は一目瞭然だった。私はその光景を見続ける事が出来ず目を反らした。
「僕が空のケースになんて騙されると思った??」
突然後ろからふりかかった声に、私が驚き振り返るとそこには運転席から消えたフールの姿があった。
『みくびってたみたいね、ごめんなさい。』
私と三郷で合流するまでの2時間の間に、フールはリモコン式の爆弾を用意していたのだった。
「さて、あとはスポーツカーの2人!」
『私が行くわ。』
「イエス、サー。」
私は再びコンテナの陰に隠れながら進んだ。
目的のダークネスが偽物であった事がわかった今、スポーツカーに乗るトラックジャッカー2人がここにとどまる理由は無い。しかし、スポーツカーは他の2台よりも倉庫の中寄りに止まっていた為にバンとセダンが邪魔になり、動く事が出来ない。
それに気付いたスポーツカーの2人はあわてて車をセダンへと乗換えようとする。私はこの瞬間を待っていた。
アサルトライフルを肩に構え、よりセダンに近い運転席から降り立った男に狙いを定めた。自分の中で何かふんぎりの様なものがついたせいか、人を撃つ事への躊躇いはなかった。
スコープでしっかりと狙いを定め、ライフルの引金を引く。銃弾は男の腹部に命中し、男はその場に倒れ込んだ。
私はスコープから目を離す事無く第2弾を発射する。狙いは助手席から降り立った最後のトラックジャッカー、しかし殺すつもりはない。この男を生かして捕える事が出来れば、私は多くの情報を得る事が出来るだろう。
肩を狙った銃弾は男を逸れ、男の向かっていたセダンのフロントガラスに当たった。
それに驚いた男は慌てて方向を変え、気が動転しているのか、倉庫の奥へと向かって走り出した。
その様子を見た私は、男の向かう先に先回りしようとアサルトライフルを投げ捨てて走った。
足に自信があった訳ではないが、乱雑に放置されたコンテナに苦戦する男に追い付くのは容易かった。走る勢いをそのままに男の背中を蹴りあげると、男はコンテナに強かに頭を打ち付けた。
そして男はそのまま力無くその場に倒れ込んだ。
「お見事!」
フールが茶化すように言い、倒れた男の額に銃口をつきつける。
『殺しちゃダメよ。この男には尋問をして知っているトラックジャッカーの情報を全て吐いてもらうんだから。』
そう言って私は男の頬に平手打ちをくらわせた。
「わぁお、レイラさんになら僕もお仕置きされたいね〜!」
相変わらずふざけた調子のフールを無視して私は男をコンテナに寄りかからせる様に座らせた。
『まず、トラックジャックは誰の指示なのか話してもらいましょうか。』
男は泣きべそをかきながらも気丈に私を睨みつける。そんな男の爪先に向け私はCzを撃った。
『散々いたぶられてから死にたい?』
男は撃たれた爪先をおさえ、叫んだ。
「わかった!わかったから!!」
『そう、いいこね。フール、録音してちょうだい』
フールは携帯を取りだし、ICレコーダーの機能を作動させる。
『トラックジャックの指示は誰からのもの?』
携帯に声がきちんと録音されているかを確かめて、私は言った。
「トラックジャックはおたくの会社の常務からもちかけられたんだ…。」


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