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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-18

『けれど、常務を薬浸けにしたのが私達とバレればあなたは殺されに行くようなものよ。』
「大丈夫。常務の部下は俺の友達が預ってくれている。会社とは関係ない友達がね。」
『そう、ならいいわ。』
「レイラ、その重役会に君も同席して欲しい。」
『私はただの契約社員でしょ??』
蓮の真意がわからず私は訊いた。
「君には重役になる能力がある。女とは思えない度胸、それに頭もキレる。銃の扱いも訓練次第で随分様になるだろう。ただの社員じゃもったいない。」
『他の重役達に推薦してくれるってこと?』
「そう取ってもらってかまわない。」
蓮の考が掴めなかった。本気でそう思っているのか、私を何かに利用しようとしているのか。
常務がいなくなった事で重役の座が1つ空いた。そこに座るのは蓮自身も自分だと思っているだろう。だが、他の役員候補を牽制するために私を利用しようとしているのではないか。そんな考えが頭に浮かんだ。
正体の露見とは別の次元での身体的危機を、私は感じ始めていた。だが不思議と蓮から逃げてしまおうとは思わない。
『わかったわ。重役会が招集されるまではどうしたらいい??』
「アゲハへの納品を頼む。築地の倉庫に行けば用意は出来ている。」
『了解!今回あなたは一緒じゃないのね。』
「淋しいか??今回は俺ほどではないが優秀な人間を付けている。いい男だ。ただ、寝るなよ??」
『バカ。』
私はそう言って電話を切った。

重役会……。これは願ってもないチャンスではないだろうか。部長以上の人間が一同に会するとすれば、組織の全権力はその場に集中するに違いない。もしその場を麻取を含めた政府が抑える事が出来れば間違いなく組織は壊滅するだろう。
その機会を逃す訳にはいかない。
その為にも重役会が開かれるまでの間、私は与えられた仕事を完璧にこなしてみせよう。それに、重役会というチャンスを逃したとしても正式な社員になることが出来れば摘発のチャンスはおのずとやってくるだろう。


すぐに着替を済ませると私はタクシーを捕まえ築地へ向かった。
港から少し離れた所でタクシーを降り、組織の倉庫へ足を踏み入れるとそこにはトラックと共に黒のポルシェが並んでいた。
「レイラさんですね?」
不意に声をかけられた事に驚き振り替えるとそこにはロシア系とおぼしい白人の男が立っていた。
『そうだけど、もしかしてあなたが今日のパートナー??』
「よろしく。フールって呼んで。」
『こちらこそ。』
軽い挨拶を済ませると私達は早速準備を始めた。私がトラックにアタッシュケースを乗せ、フールが銃機の納められたコンテナから携行する武器を選ぶ。前回の蓮と同じ様に、フールはサブマシンガンと手持用にトカレフを選んだ。
『まって、今日はもっと武器が欲しいの。』
そう言って私は更にアサルトライフルを肩にかけた。
「それ撃てるの??」
『必要になったら撃つしかないでしょ。あなた、グレネード撃てる?』
さらっと言った私にフールの顔は青ざめた。
「戦争でもする気??」
苦笑いをするフールにグレネードランチャーをおしつけた。
『今日はあたしポルシェで出るわ。トラックはあなたが運転して。それと囮トラックはいらない。』
サバサバと指示を出す私にフールは黙って従いトラックへと乗り込んだ。
私は囮として用意されていたトラックから無線機をむしりとると、それをポルシェにもちこんだ。無線機が機能する事を確認する
『フール、聞こえる?!』
少しの間があり
「あぁ、聞こえるよ!」
とフールが答えた。
『先に出て。2時間後に三郷ICで。』
「了解。」
フールは少しうなだれているようだった。トラックが出ていくのを見届けると私はポルシェにダークネスの入ったアタッシュケースを積み込んだ。トラックの方のケースは空、フールを囮に使うのだ。


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