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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-15

今日は自分の部屋へと帰る事を蓮に伝えると、携帯の番号を残し、足早にホテルを後にした。ポルシェを受けとるのは明日以降にしよう。
ただ、間違っても自分の本当の部屋に帰る事は出来ない。もし蓮が私の本当の部屋を知れば、私の部屋からは簡単に私の職業が割り出せる。蓮に知られる訳にはいかないのだ。
考えた末、私はタクシーで青山のホテルへと向かいチェックインした。

ホテルの部屋に入り、カーテンを全て閉めた。私がまずしたことは、電話だった。栄祐に伝言を頼んだ通り、麻取の上司である永井に連絡をする為に。
ただ、永井は私の言葉を受け入れてくれるかはわからない。
私の総てを拒否し私を麻取から放り出すかも知れなかった。
しかし私の予想に反し、電話に出た永井は何よりも先に私の身を心配してくれた。
そんな永井に私は、事の成り行きを全て話した。この手で人を殺した事も、密売取引の手引きをした事も全て。
<君の立場は非常に危険かつ微妙になっている。これ以上の無理な捜査の続行は君自身の生命に対する危険及び刑事訴追の対象となりかねない可能性を考慮すると、賛成できかねる。>
永井は言った。
『しかし、現時点での私の離脱は死を意味すると考えます。それにダークネスの密売組織の実態を突き止める最大のチャンスであるかと。』
私は出来るだけ冷静を装って言った。
<ならば私は政府に最大限の協力を要請しよう。>
永井は諦めていたのかも知れない。もしくは、私が現状のままでは絶対に離脱不可能だと考えたのだろう。
『ありがとうございます。組織の全貌を把握し、摘発が可能になった際は政府の最大限の協力を得る必要があると考えます。組織は武装化が進んでおり、麻取だけ現場を抑える事は不可能かと。』
<わかった。ただ、何よりも君自身の安全を最優先させなさい。>
『わかりました、では。』

永井との電話が終わると急激な眠気に襲われた。私はその眠気に逆らう事なくベッドへと入り、眠りについた。



翌日、蓮から電話があった時、私は青山のアウトレットにいた。
「今どこだ?これから迎えに行く。」
『仕事?何をするの?』
「人に会う。そう言えばわかるだろう。」
常務の事だろう。
『わかった。用意するから1時間後に青山に来て。』
私はこの為にアウトレットで揃えた服を身に付け、蓮と合流した。
ぴっちりと体に張り付き、下着を一切着けていないとわかる素材のタイトなパンツスーツだ。
「おっどろいたな。」
蓮の第一声だ。
『何が?』
そっけなく蓮に答える。
「銃を扱う君も素敵だが、ブランド物を身に付けても似合うな。」
私はそんな蓮の言葉を鼻で笑って流した。
暫く蓮がコルベットを走らせると常務が指定してきたというレストランに着いた。
常務の待つ個室に通されると、そこには図体のでかい男と部下とそのおぼしい男が待っていた。
『はじめまして、常務。』
私はとびきりの作り笑顔で微笑んだ。
常務は胸をおさえ、大袈裟によろめいてみせた。
「すっげぇ!すっげぇ、すっげぇ、すっげぇよ!!豪華じゃん!華麗じゃない!レイラちゃん!!蓮から凄腕の女って聞いた時はもっとゴツくて色気の無い奴かと思ったよ!」
『どうも。』
常務は蓮から聞いていた通りの男の様だ。人間が腐っており、腰抜けの女たらし、図体ばかりでかく、喧嘩早さを売り物にしているが、実際にサシで誰かを絞めたという話は聞いたことがない。いつもブランド物で全身を固め、車はフェラーリというとんだゲス野郎。何故こんな奴が蓮の上司なのか不思議でならない。


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