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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-13

その時私は廃ビルの陰から人影が飛び出した事に気付いた。
拳銃を手にした蓮だった。
被弾でボロボロになったバンを回り込み、すぐ後方に止まっていたGTRに向けて銃を撃った。
GTRの中のトラックジャッカーがどうなったのか、私の位置から確認する事は出来ない。
しかし、蓮は銃を下ろすと私に向かって大きく手を降った。
トラックジャッカー達が無効化された事を蓮の姿から知ると、私は階段をかけおりた。
トラックを停めた位置まで戻ってきた蓮に私は言った。
『私は囮だったって訳。』
「そう怒るな、イイ腕だったぜ。」
私は蓮に飛び付いた。蓮の首に手を回し、頬を蓮の長い髪に埋め、きつく抱きしめた。
私は震えていた。殺されるかも知れないという恐怖よりも、私の撃った弾で人が死んだ、この手で人を殺してしまったという事からの恐怖だった。
その後の運転は蓮が代わった。
他の2台の囮トラックから連絡がくる事は無かった。
「消されちまったか。」
蓮はそう言った。
私の震えがすっかり収まる頃には、トラックは都心へと戻った。不審な追尾車やトラックジャッカーと思われる様な車は無かった。そのまま六本木に入り、アゲハとの取引の場所へと向かった。
アゲハとの取引は無事に終わった。
アゲハは蓮の言った通り、普通の18の女の子にしか見えなかった。
ただ彼女が普通と違う所は、職業が学生でも、フリーターでもなく、ドラッグの密売人という事だ。
アゲハは私に興味を持った目を向けてきた。その興味が自分と組織の橋渡である人間としてなのか、自分と同性という事に対してなのかはわからなかったが。
「これからよろしくね、レイラさん。」
そう言い残し彼女は先に去って行った。


「うまくやれそうで安心したよ。」
『女通しだからかしらね。』

蓮はトラックを戻すために築地の倉庫へと戻った。

『これで仕事はおしまい??』
そう尋ねたわたしに蓮は無言で封筒を押し付けた。中身は万札が詰まっている。
『報酬??』
「そうだ、300入っている。続けられそうか?」
『みくびらないで。』
「そうか、安心したよ。」
蓮の両掌が私の頬を包んだ。
「レイラ、君は最高のパートナーだ。」
真っ直ぐに私を見つめて言った。
私は涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。
蓮を騙している事に、これから先も騙していかなければならない事に強い罪悪感を感じた……。
決して感じてはいけない罪悪感を。蓮は犯罪者であり、私は麻取。蓮は私にとって、愛してはいけない相手なのだ。
蓮が私の正体を知った時、蓮は誰よりも私を憎む事になるだろう。
だがその瞬間までは蓮に愛されていたいと願った。私はなんて卑怯で汚い人間なのだろう。



その夜、蓮は私を昨夜と同じシティーホテルへと運んだ。
部屋に入ると無言のまま互いに求めあった。
唇を貪り、欲望のままに舌をねじこむ。荒々しく服を剥ぎとると蓮が私を抱きかかえ、バスルームへと運んだ。
今朝とは違い、蓮もじらそうとはしなかった。コックを捻ると、熱いシャワーが肌を伝った。
愛撫を待たずとも潤った私の果実は蓮を欲していた。それを知った蓮は迷う事なく私の中を犯す。
互いの欲望のままに激しく突き動かし、限界を考える事もなく。
私は初めてベッドで《許して》という言葉を使った。
それが激しすぎる蓮の突き上げに対するものなのか、蓮を裏切っているという事に対してなのかは、私自信にもわからなかった。


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