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アゲハ
【その他 官能小説】

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レイラ-1

『うっん、はぁ、あっああぁ!』
私の腰を高く持ち上げ、腰を打ち付ける栄祐は私に囁く。
「玲良、好きだよ。」
その言葉への私の反応を見ようと少し腰の動きを緩める。だが私がその言葉に返事を返す事はない。
その事を悟った栄祐は再び腰の動きを早めた。結合部では私の愛液がいやらしい音を立て、溢れだしたそれは栄祐が腰を打ち付ける度にシーツに染みを作る。

栄祐は私にとって特別な存在ではない。
27の私よりも2つ年下の栄祐とは仕事を通して出会った。新米ではあるが、目黒署の優秀な刑事だ。
女だからと言って私を過小評価せず、私の特殊な職業にも理解を示してくれる、私にとって理想的な相手。けれど私は栄祐とこれ以上深い関係になることを拒んでいた。私の仕事を認めてくれてはいるが、栄祐が好きなのは私の容貌。
栄祐は何かにつけて美人だとか綺麗とか、そんな言葉をつけたがる。私はそんな言葉で形容されるのが大嫌いだ。おそらくこの容貌がなければ栄祐が私に特別な感情を抱くことはなかっただろう。

栄祐は私を奥まで貪り続けた。一度、結合が解かれてしまうのではないかというほど腰をひき、一気に私を貫く。快楽の悲鳴をあげる私を執拗に凌辱し、何度も何度も、最後の1滴まで精を放出した。

「帰るのか??」
行為の後、手早く衣服を身に付け始めた私に栄祐が訪ねる。
『行く所があるの。』
それは事実だった。
「まさか仕事?今から仕事したって給料にはなんねぇよ。」
『私は金の為に今の仕事してる訳じゃないの。もちろん世の為って訳でもないけど。』
「何でそんなに意地になるんだよ?」
栄祐はあたしが仕事に対して意地になる理由を分かっている。
『聞くまでもないでしょ。コンプレックスに勝つため!』
私は引き留める栄祐を相手にせず、栄祐の部屋を後にする。
向かった先は都内中心地に位置する若者の盛り場の中にある1件のカジノバー。
辺りに密集する飲食店やカラオケ、ゲームセンターなど若者をターゲットにする店の中でこのバーは少々特異である。
客の大半を中国系や朝鮮系アジア人、欧米系白人、ベトナム系の人間が占めている。それもまっとうな手段で生計を立てているような人間ではない。
場所と集まる人間の種類からか、様々な麻薬や覚醒剤の噂が耐えない。
私は今この場所で内偵、つまり情報収集をしている。被疑者の逮捕・起訴の為の証拠固めだ。


私の勤め先は【関東信越厚生局麻薬取締部】。俗に言う麻薬Gメンや麻取ってヤツが私の仕事だ。
麻取ってのは、警察と違い人数が極端に少ない。その少ない人数で最大限有効に働くためには正確で確実な情報が必要不可欠だ。その情報を手に入れる事が私の目的であり、この場所にいる理由。
旧ソビエト、ロシア人の祖父をもち、その血を濃く受け継いだ私の容赦は、この場所に良く馴染んだ。少なくとも誰も私を日本の政府機関である麻取の人間とは思わない。
これまでにも私は何度かこの容姿を活かして情報集めにあたる事があった。
麻取の慣例として、通常女の取締官は現場には立たない。麻取に入った当時は私もFBI、DEA(連邦麻薬取締局)等の駐在官との連絡調整など現場とは一切関わりを持たない仕事に着いた事もあった。

同僚たちは女が危険を犯してまで現場に立つ必要はないと断言し、私が自ら情報収集に歩く事を快くは思っていない。
実際に危険な目に合った事だって数えきれない程あるし、命の危険を感じた事もあった。


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