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【スポーツ 官能小説】

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〜 土曜日・文化 〜-1

〜 22番の土曜日 ・ 文化 〜



 学園に入学してからというもの、ゆっくり休む時間がまるでない。 土曜日は午前中で終わると聞いて、やっと少し落ちつけると思っていたのに、アテは外れた。 

 忙しいのは嫌いじゃない。 余計なことを考えずにすむし、暗い未来に向き合わなくても時間が過ぎるし、疲れた方がよく眠れる。 しかし、この1週間はあまりにも酷で、情報量が多すぎる。 思考の整理はとっくに限界を超え、頭の中は人生で初めてなくらいしっちゃかめっちゃか。 体力の底はからっぽで、少しでも気を抜けば意識がとんでゆきそうだ。 お願いだから、誰にも怯えることなく、気をつかわずに静かに過ごす時間が欲しい。 今だけは1人っきりで横になりたい。

 けれど、この発想自体が学園では『贅沢』に分類されるんだろう。 薄々私にもわかってきた。 これから先、私が心から安らげる瞬間なんて、これっぽっちもないんだろう。 もしくはこういう状況を当たり前と捉えられるようになることでしか、私達の未来は開けないんだろう。

 ……。

 とにもかくにも訳が分からないうちに『クラブ紹介』ということで体育館のステージ前に集められ、風紀委員の腕章をつけたBグループ生に誘導され、こうして『第4姿勢(M字開脚)』を取らされた上で、私たちCグループ生はステージの幕があがるのを待っている。 

 5限開始をつげるチャイムが鳴り、1分ばかり過ぎた頃。 体育館に放送がかかった。 

『定刻になりましたので、ただいまより生徒会主催、倶楽部紹介をはじめます』

 生徒の声だ。 しっとりした上品なトーンは、心なしかどこかで聞いたような気がしたが、それが誰かはすぐにわかった。

『司会進行は、わたくし生徒会副会長A4番が勤めさせていただきます。 よろしくお願いします』

 A4番……私たちが暮らす史性寮の寮長ではないか。 思わず隣を向くと、クラスメイトのみんなも気づいたらしく、21番、20番をはじめ揃って目をパチクリさせていた。

『それぞれの部活につき、部員を代表して5名以内が紹介を行います。 規定時間は2分30秒以上3分以内となっており、時間厳守でお願いします。 また併せて、部を紹介してもらう都度、始まりと終わりに新入生の皆さんは暖かい拍手をお願いします』

 と、シュルリ、シュル、幔幕がゆっくりもちあがる。

『それでは、最初の紹介に入ります。 華道部のみなさん、よろしくお願いします』

 パチパチパチ……。

 慌てて膝をたてて股間を晒した姿勢のまま両手を叩く。 乾いた拍手に押されるように、重厚な舞台の幕は、ゆっくりゆっくりあがってゆく。

 舞台にはAグループ生の制服――スカートは膝丈で、露出もないオーソドックスなセーラー服――をまとった長身の生徒と、Bグループ生の制服をつけ、髪を編んで束ねた中背の生徒が並んでいた。

「新入生のみなさん。 私たち華道部はAグループ生1名、Bグループ生1名で活動しています。 流派は裏万家、A棟の先生方が総括顧問をしてくださいます。 活動場所は調理室や和室など、水回りが使用できる教室を随時借りています。 本日は基本の立花を披露します。 花器役は彼女が、生け役は私が勤めさせていただきます」

 花器役……耳慣れないフレーズだ。 けれど、喜ぶべきか悲しむべきかは別として、その一言で私には何となくわかってしまう。 学園の部活動に対して過去の常識を持ち込むつもりはない。 どんな内容であったとしても、ああそうか、と思うだけだ。

「どうぞよろしくお願いいたします」

 ぺこり。

 華道部の紹介は、2人の楚々とした一礼から始まった。 私たちのように直立から斜め45度にキビキビと首をたれる礼というより、滑らかな、指先まで神経が行き届いているようなしなやかな動きは、華道部の特徴でもあるんだろうか。 上手くいえないけれど、仕草の1つ1つに雰囲気がある。

 2人は舞台袖に戻ると、Aグループ生が花束が入ったバケツを、Bグループ生が色々な道具が載った台をおして戻ってくる。 と、髪を束ねたB生が無造作にプリーツをはだけ、しゅるりと制服がおちた。 下着は私たち同様身につけておらず、シミ1つない綺麗な肌だった。




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