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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 就寝 〜-5

 顔を踏みつけ、靴下を口に押し込み、人をモノ扱いした時と変わらぬ口調だった。 てっきり先輩のことだから『頑張ってね』と放置されると思っていたのに、先輩はごく当たり前にそういって、ブルブル震える私の手を引き、階段を降りて食堂を抜け、トイレまで連れて行ってくれたのだ。 
 一面ガラス張りのトイレに2人して入り、便座に登る。 股間を晒して放尿するよう、学園で指導を受けているので、座ることはできない。 恥ずかしいことに急激に込みあげる尿意で足が震えて、先輩の手を借りてようやく便座の上にしゃがむことができた。 と思ったときには尿が決壊し、真下にすごい勢いで叩きつけ、ジョジョジョババーと、下品極まる音色をトイレに響かせた。 
 緊張の極みから一息に解放され、私は1500メートル走を完走した直後のように、小刻みに肩で息をしていた。 そんな私の腰をひな先輩は優しく持ち上げ、顔をうずめて舐めてくれた。 私にとって、自分の持ち物を舐められた、初めての経験。 我慢しすぎたせいで感触はちっともわからなかったけれど、小さくて暖かい感覚だった。

 私は何度も何度も御礼をいった。 何をどうすればいいか、規範も基準も分からない世界に放り込まれて、誰も自分に良くしてくれない。 先輩が私をトイレに連れて行って、先輩の舌で排泄物の残滓を拭ってくれたのも、何か根底があってのことかもしれない。 けれど私にとって、先輩の舌は暖かかった。 合宿、学園、寮を通じて、初めて素直に温もりを感じた瞬間だった。 先輩は『別にどうってことないです』と相手にしてくれなかった。 
 
 部屋に戻ると、私の身体は自然に床に横たわっていた。 先輩も、ごく当たり前のように靴でおでこを踏みつけ、私は荒い鼻息で靴底を迎えた。

 時計は11時5分前。 机に置いてあった『チューブ』のフタをとり、ペースト状の『練り歯磨き』を指にとると、先輩は自分の歯になすりつけた後、私の歯にも塗りたくった。 何でも寮の『歯磨き』は、呑込んでも平気な薬液で、唾液と混じることで口内殺菌効果をもたらす優れものらしい。 使い方はといえば、2人1組になってお互いの舌で掃除し合うもので、つまり、私と先輩が互いに練り歯磨きを含んでから、舌を入れっこして歯を舐め合うものらしい。 
 怖くて引き気味だった私の顎を押さえ、仰向けな私に覆いかぶさるひな先輩。 先輩は小さな舌を口腔中に動かした。 歯と歯茎にヌメヌメした感触が走り、これがさっき私の膣を綺麗にしてくれた舌だと思うと、妙に熱っぽく思えてきて、私の身体の芯まで火照るようだ。 負けじと私も舌を伸ばし、唾液をまぶしながら先輩の歯をすくい、舐めた。 
 時間にして2分ほどだろうか。 それなりに激しく舐めっこしたところで、つぅー…と舌先から唾液で糸をひかせながら、先輩が顔を離して歯磨きは終わった。 上から垂れた唾液はぽんやり広げた私の口に収まり、唇についた先輩と私の唾液も併せ、私は自然に飲みこんだ。

 こうして初日の夜が終わった。 壁時計の針が11時を指すなり、部屋を真っ暗な闇が覆う。 豆球の明かりもなく、星空の瞬きが窓越しに微かに入るだけだ。 ベッドの上で布団に入ったのは先輩一人。 私は床に横たわるよう指示された。 ただ、先輩が使わない毛布を敷いてからシーツで覆ってくれた。 毛布にくるまればちっとも寒くはない。 畳のごわごわが毛布越しに伝わるくらい、横たわることで得られる安らぎに比べればどうということはない。

『おやすみなさいです』
『おやすみなさいませ。 明日も宜しくご指導お願いします』

 それだけ言葉を交わすと、ベッドの上からは、ものの1分も経たないうちに、規則正しい静かな寝息が聞こえてきた。 私もまた床で身体を丸めながら、意識が沈むのにに身を任せるのだった。


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