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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 挨拶 〜-1

 非日常が浸食する間もなく、あっけらかんと日常は消失した。 あとにはただ、途方にくれて、それでも生きていくしかない私たちがいた。 現実にしがみついた友達はみんないなくなっていて、希望に溢れた筈の私たちは、地面を這いつくばっていた。




〜 挨拶 〜

「挨拶はコミュニケーションの基本です。 礼儀も含め、きちんとできなくてはなりませんね。 みなさんもそれはご存知の通り」

 美貌を出し惜しみせず2号教官がニッコリとほほ笑むも、私たちには笑い返す余裕があるはずもない。

「それではここまでのおさらいです。 しっかり大きな声を忘れないよう」
 
 教壇とは、上から見下ろすのに丁度いい高さがある。 見上げる側としては、公平さが微塵もない茶番とわかっているので、冷たい汗が止まらない。

「わかりましたか? はい返事」

 教室に居並ぶ全員が、私を含め一斉に両手を股間に伸ばす。 大陰唇のすぼまりにひとさし指と親指をかけ、すかさず両側にひきしぼる。 陰毛の茂りがそがれた土手がならされ、本来衆目からもっとも遠ざけるべき内臓。 腰を落としてひだが伸び切ったあそこを露わにするためだ。
 ここまでで1秒。 間髪いれず声を揃える。

「「はい! インチツの奥で理解します!」」

 インチツってなんだろう、そう戸惑う権利すら私たちには存在しない。 なぜなら疑問を持つより早く、

「声が小さい、動きが遅い。 まったくダメ」

 笑顔を崩さず手元が動く。 手の中にはリモコンがある。

「「っっっ」」

 全員の喉に走る電流。 コンパスに肌をえぐられるような刺激に、しかし私たちは誰一人呻き声すらあげず、とにかく股間をつきだした姿勢を保った。 与えられる痛みは受け止めなければならない。 叫んだりもがいたり、反応すること自体が罪であり、さらなる激痛に繋がることを全員が理解している。

「そうそう。 姿勢は常に正しく。 そして指導に対しては?」

「「ありがとうございます! マン汁垂らして感謝します!」」

「そう。 いつでも御礼を忘れないこと。 じゃ、もう一回返事」 

「「はい! インチツの奥で理解します!」」

「おそい。 全然ダメ」

 まったく表情を変えずに再度ボタンに指をかけ、メモリを1つ上げてからスイッチオン。

「っっっ」 「うぐっ」 

 首輪の内側に据えられたネックセットから電流が来る、とわかっていても完全に耐えられるわけではない。 恥じらいなく内臓を晒した姿勢を保つのが精いっぱいで、呻きは抑えられなかった。 それでも私は耐えた方で、右隣の少女からは悲鳴がもれた。 教官の笑みが心なしか広がったような。

「ふう。指導中に喚いて、ろくに挨拶もできない、と。 下品極まります。 30番」

「……っ! 申し訳ありません!」

 30番、と呼ばれた右隣の少女は、傍目にわかるほど震えていた。 左右の乳房にペイントされた『30』という番号が、体の震えにあわせてプリプリと弾んだ。

「貴方のような脳の足らないクズが一匹いるだけで、このクラスが『挨拶できない』とみなされるわけだけど、そこのところは分かっていますか?」

「も、申し訳ありません!」

「……分かりましたか?」

「申し訳ありません!」

「私は、分かりましたか、と聞いたのだけれど」

「えっ、あの……申し、申し訳ありません!」

「これだから、全く。 これ以上は聞いても無駄ですか」

 教官が30番に肩をすくめる。 私たちはその間、同じ姿勢で股間を開き、顔を俯けることなく教官を見上げていた。  30番がどうするべきなのか、私にはわかる。 教官が『分かりますか』と尋ねた時は『インチツの奥で理解します』と答えなければならないのだ。 意味も理由も分からないけれど、教官がそう望むのなら、そうしなければならない。 しかし今の動揺した30番には、簡単なことができなかった。 30番にそっと耳打ちできれば、と願う。 実際は一言すら紡げない。 


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