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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 反省文 〜-4

「ひっ……!」

 悲鳴を漏らしたのは私の方だ。 さっきの音は、あれは嫌な音だ。 ステーキを焼き石に押しつけたとき、ちょうどあんな美味しい音がした。 もう見ていられない。 私は両手で顔を覆ってしまって、その場から逃げ出さないのがやっとだった。

 どのくらい時間が経っただろう。 時計を確認しそびれたから正確なところは分からないが、5分はかかっていないと思う。 寮長が解散を宣言し、私はグッタリした先輩に肩を貸して、自分達の部屋に戻った。 黒い液体をこびりつかせた先輩のクリトリスはパンパンに腫れ、体温を遥かに超えて熱かった。 治療するべきなんだろうけれど、方法もクスリも知識もなく、オロオロするしかできない私に、先輩は『早く学園に登校しろ。 自分は少し休んでからいくから、先にいけ』といった。
 先輩を置いていくことを躊躇う私に、先輩は『これは命令』と告げた。

 本当なら、命令を無視してでも先輩に連れ添うべきなんだろうけれど。 私は、正直にいうと、遅刻してペナルティを受けることが怖かった。 何度も先輩に『ごめんなさい』と頭をさげてから、クラスメイトを追って教室に走ったけれど、そんな自分が情けなくて、このまま消えてなくなりたかった。


 ……。

 
 その時は何がどうなっているのか分からなかったけれど、今は分かる。
 『反省文』は、指定された文面を特殊なインクで記すことで、二度と失敗しない決意を表す学園の指導の1つだ。 反省は単に頭をさげるにあらず。 自分の確固たる意志を示してこそ、反省は価値がある。 文章にしても同じことで、美辞麗句を並べるのではなく、決意をもって文字を書くことが学園では求められる。 
 反省文用の特殊インクはネバネバして、皮膚、とくに粘膜に絡みつく。 温度は約60度。 重度の火傷に至らない、ギリギリの温度に保たれている。 このインクは紙にのりにくいため、思い切り押しつけないと文字にはならない。 人体には無害だが、付着した箇所はヒリヒリと痛痒く、この感覚はほんの少し付着しただけで半日続く。
 書く際の『筆』は3種類。 一番軽い反省は、乳首にインクをつけて書くことになっている。 比較的感度が低い乳首でも、60度は高熱だ。 しかも、インクにまみれてしまうと、半日以上むず痒く、時には痛みが走る。 反省文を書き終えた後も、服と乳首が擦れるたびに刺激が走り、冗談ではなく、その都度全身がビクンとなる。
 中くらいの反省は、舌だ。 舌でインクを受けとめ、反省文を書いた日は、喋るたびに辛くなって、食事も喉まで通らない。
 最も重い反省がクリトリスによる作文になる。 熱だけでも大概なのに、インクの刺激が強すぎるのだ。 インクがかかっただけで、大抵は悶絶してしまう。 中には本当に気を失う人だっている。 しかも、インクで敏感になったクリトリスを、床においた紙に腰ごと押しつけなければいけないのだ。 快感と激痛に苛まれながら、無様に紙上で腰をふる。 インクが切れれば、再度腰をもたげて装置から垂れるインクをクリトリスで受け止める。 ここまでして、ようやく反省文になる。 乳首や舌とは段違いに、クリトリスで文字を書くことは肉体的負担が激しい。 そのまま寝込んでしまうこともザラだ。

 こんなことを平常心でこなせというのは無理な話なのだが、それをやりとげてこそ反省の意を示すことになる。 嬌声をあげたり、文字が汚くて読めなかったりすれば、容赦なく『やり直し』が待ち受ける。 半紙なんていくらでもあるのだ。 
 
 先輩が私を庇ってくれた日の夜。 『私を含む』新入生全員が、乳首で反省文を書いた。 寮長には書かないでいいといわれたけれど、B29番先輩もバカなことをする必要はないといってくれたけれど、敢えて志願して書かせてもらった。 苦笑するB29番先輩が見守ってくれる中でみんなと書いた『ごめんなさい』の6文字は、情けない私の本音だった。


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