投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

dream・road
【青春 恋愛小説】

dream・roadの最初へ dream・road 29 dream・road 31 dream・roadの最後へ

dream・road〜scene-2nd-9

(マリアが…?)



身体中の痛みが抜けて、否、気にならなくなる。恐怖の感情は消え失せ頭に浮かぶのは怒りのみ。

「どけよ…」
『レイラ様…車にお戻りを!』
『大丈夫よ。夜叉、相手を』
「うぉおおお!!」


龍矢は地面を蹴り、二人に突っ込んでいった。それは、今さっきまで恐怖に支配されていた男ではない。まさに獣だった。

「ガアアァッッ!!!」

龍矢はレイラを護るように立ちはだかる、鬼夜叉に向かって拳を振りかぶった。
理論なんて微塵もない、ただの腕力任せのテレフォンパンチ(予備動作が大きく、相手にわかってしまうようなパンチ)だが、鬼夜叉は龍矢の圧倒的なまでの気配に気圧されていた。

(なんと…!先程とはまるで別人の闘気!)

鬼夜叉は両の掌を重ね、顔の前に構えて龍矢の拳を受け止めた。


『ぬぅっ…!』

体ごと吹き飛ばされたが、鬼夜叉はすぐに体制を立て直した。しかし、目の前には二の太刀を放とうとしている龍矢の姿が。

(避けられんっ!!)


ゴキィッ!!


全ての力を込めた龍矢の右拳は、鬼夜叉の顔面にめり込んだ。

ピシッ…。

鬼夜叉の面にひびが入る。鬼夜叉の体から力が抜けていく。

「ガアァアッ!!」

地に向かい墜ちていく鬼夜叉の体を龍矢は許さなかった。
左の拳を腹に打ち込み、鬼夜叉を体ごと浮き上がらせる。
反射的に跳ね上がった顔面に止めの右拳を撃ち込んだ。

鬼の面が無惨に砕け割れ、鬼夜叉は今度こそ地面に体を預けた。



「はぁ…はぁっ…」

龍矢の目に元の輝きが戻る。足下には鬼夜叉がうつ伏せに倒れていた。

「俺が…やった…のか?」
『そうよ』

半信半擬の龍矢にレイラは声をかけた。あの激闘の最中に逃げ出さず、一部始終を見ていたこの女性の胆力は凄まじいものである。


dream・roadの最初へ dream・road 29 dream・road 31 dream・roadの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前