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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road〜scene-2nd-4

内容はいたってシンプルだった。今日の夜に公園で会いたいという内容だ。
男の字なので、浮気とかではないとマリアは少し安堵したが、まだ胸騒ぎは消えてはいなかった。

「カイって…誰だろう?」

手紙の最後には、カイという名前が書かれていた。
龍矢が部屋を出てからもう十五分程経っている…。マリアは龍矢を追い掛けようと決心し、テーブルから立ち上がった。その時、

「うっ…」

胃がせりあがるような猛烈な吐き気に襲われ、マリアはトイレに駆け込んだ。

「うぅっ…ううーっ!!」

胃の内容物を一通り吐き終え、マリアはトイレの壁にもたれかかり、座り込んでしまった。下腹部を擦りながらマリアは呟く。

「…まさか、ね…」

しばらく休み、マリアはトイレから出ると弱々しい足取りで龍矢を追い掛け始めた。



公園にたどり着いた龍矢は、目印である池の近くのベンチへと足を向けた。
辺りを見渡すが、誰もいない。

「カイ…いるんだろ?出てきてくれよ…」

龍矢は王者になる他に、もう一つ目標があった。それは、カイに会うこと。
数年前に一人アメリカへと帰ってしまったカイを追うために、龍矢は渡米したのだ。

龍矢は、カイに話したいことが沢山あった。聞きたいことが沢山あった。

「カイ…出てきてくれよ…」

やはりなにかの間違いなのか…そう思った時、林の中から一人の男が姿を現した。
気配を感じた龍矢は振り向きながら男に問いかけた。

「カ…!?」

男は異様ないでたちをしていた。
上下に黒のスーツを着込み、顔にはこめかみから左右に角の生えた骸骨の鬼の面を着けている。
全身を緊張させながら龍矢は男に問いかけた。

「誰だ、アンタ…」
『夜分に失礼を…この界隈(かいわい)では鬼夜叉(おにやしゃ)と呼ばれております…』

男の発音から、日本人だと判ると龍矢は日本語で話し始めた。

「ここで一体何してる?」
『貴方(あなた)様にお会いになるようにと、旦那様からおおせられまして…』
「誰だ旦那様って?俺はそんな奴知らないぜ」
『カイ様…と言った方が分かりやすいでしょうか?』
「…!」

この男はカイを知っている…全身に緊張をみなぎらせながらも、龍矢は慎重に鬼夜叉と会話を続けた。

「カイはどこにいる?」
『旦那様は、今はホテルでお休みになっておられます』

龍矢は内心多少の不安を感じていた。目の前で話すこの男から、尋常ではない気配を感じとっていたのだ。

口調こそ丁寧だが、何時でも臨戦体制を整えている…。

(…明らかにカタギじゃねえな)

このまま会話を続けてもらちが開かないと感じた龍矢は、鬼夜叉に単刀直入に質問をぶつけた。


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