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爛れる月面
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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5.つきやあらぬ-4

 徹は耳にかかる髪を鼻先で除け、紅美子の耳にもキスをしてきた。声が熱く濁っている。
「なんか……、ん、ちょ、いたい……」
「痛い? ……気持よくない?」
「ん……、ゾクッてなるんだけど、……なんかちょっとコワい……」
 紅美子は至近距離で徹に瞳を合わせて訴えた。「もうちょっと優しくしてほしい」
「こう?」
 徹が胸を攻める手が優しくなった。
「うん……、そう……」紅美子は徹の首に絡みついて、自分から深いキスをして舌を押し込む。飢えたようにバストを鷲掴みにしてきた徹を不思議に思っていた。「……こういう風にされるほうがいい」
 柔らかい手つきで掬い上げ、ブラに包まれた形の良いバストを解すように揉み、指先で乳首を微かに捻る。紅美子がが鼻から甘い息を漏らし始めると、徹が紅美子を押して後ずさりさせてきた。
「ん……?」
 紅美子は徹に導かれるままに、一人がけのソファに腰を下ろした。唇を離した徹がその前に膝立ちになる。「……どうしたの?」
 徹は何も言わず身を屈めて、紅美子のスカートの裾から覗いた膝頭にキスをしてきた。
「ひゃっ……」
 擽ったさに声が漏れる。思わず脚を閉じ合わせてしまった紅美子の左右の膝頭に唇を這わせ、硬さと柔らかみの狭間を丁寧に舌でなぞってきた。
「んっ……、やっ、……くすぐったいよ、徹……」
「……脚、開いて?」
 ピッタリ閉じ合わせている膝頭に手を添えて徹が見上げてきた。
「……どうしたの? 今日……」
「紅美子、開いて」
「んっ……」
 突然名前を呼ばれ、徹が込めてくる力に逆えなかった。恥ずかしいのに思わず嬉しさにクスッとふき出してしまう。「……徹が呼び捨てになると、なんか、『エッチしよ』って合図みたいになってる」
「うん……、したいよ、紅美子」
 徹は開いた脚の間に顔を入れ、スカートの裾を額で押し上げて内ももにキスをしてきた。
「したい……? ……んっ」
 徹の唇が這う度に紅美子の脚が震え、肌に細かい波を刻む。
「したいよ。紅美子をいっぱい気持よくさせたい」
「……んっ。なんか、徹……。ちょっと男らしくて、きゅーんてなる……」
 徹の唇がもう一方の内ももに移った。さっきまで唇が這っていた肌には指先がもどかしいタッチで這う。
「……んっ……、やっ……」
 紅美子の声が一気に甘く、そして高くなった。「と、徹……」
「紅美子も気持ちよくなりたい?」
「んっ……、なりたい」
 紅美子が素直に言うと、徹がパンプスを履いたままの片脚をソファの縁に付かせた。角度が付いて立った脚の、より露わになった内ももへ舌を這わせてくる。
「やっ……、ちょ、徹……」
「なに?」
 紅美子は背凭れに深く凭れ、手の甲で口元を隠して紅潮した。思いのほか羞しくなってきて、脚を開いたために捲れたスカートの奥に顔を突っ込んで口づけしている徹を直視することができない。
「なんか、ダメ、これ……。ベッド行こ?」
「ん……? ……気持よくない?」
「……きもちいい……んだ、けど」
 様子が違う徹に、いつもなら甘えて言えた言葉を言うのも恥ずかしい。徹が戸惑っている紅美子のもう一方の脚もソファに上げてくる。
「やっ……」
 徹の目の前でソファに脚をかけて開いただけで喘ぎが出た。こうして彼の前で脚を開いたことはあるし、下着をつけずにしたことだってあった。だがそれは興奮がもっと気分が盛り上がり、羞恥心よりも快楽を求める思いの方が強くなってからだった。今はまだ始まったばかりだ。なのに徹は膝を曲げて広く開いた脚へ隅々まで唇を這わせ、指で撫で上げてくる。
「徹っ……」
「ん?」
「……ちゃ、ちゃんとして……」
「……」
 長く下肢を愛撫してくれていた。なのに徹の唇も指も、両足の付け根までは触れてきてくれるが、脚の付け根ギリギリのところまで到達するとショーツのふくらみを越えてもう片方の脚に移ってしまうのだ。
 明らかに徹は焦らしている。これまでは命じたり、ねだったりすればすぐに愛してくれたのに、紅美子がそう言っても触れてきてはくれなかった。
「ね……、と、徹ってばっ……」
「すごく濡れてるよ、紅美子。……まだ触ってないのに」
 唇が左から右に移る途中でショーツを覗きこまれた。徹の息と視線を脚の中心に強く感じる。脚の敏感な場所に唇を這わされて、しかしどれだけ待っていても触れてはもらえない最も敏感な部分は、徹を焦がれてショーツへしっとりと染みを浮き立たせ、視線を浴びて震えていた。


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