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爛れる月面
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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1.違う空を見ている-23

「うん……」
 もう一度徹の方からキスをした。
「つけてみて?」
「うん……」
 徹は紅美子が目線を向けた先にあったコンドームを拾い上げると、外袋を開けて取り出し、紅美子の見ている前でつけた。それを見届けた紅美子は、後ろ手をついていた徹の肩を押して布団に仰向けに寝転がらせると下腹部を跨ぐ。
「クミちゃん、すごく、キレイ」
 徹の視線を、膝を開いて跨いだ脚の中心に感じて、
「ちょっ、……見すぎ」
 と、徹が焦点を合わせている場所を手で隠した。
「ずるいよ」
「だって……。……あ」
 指の先にヌルリとした潤いを感じた。自分でもこんなになっているとは思わなかった。「濡れてる」
「うん……」
 徹は手を差し伸ばしてくると、紅美子の手をすり抜け、入口に触れて確認してきた。
「わっ……、ちょ……。勝手にしないで」
「ずるいよ」
「だって」
 指が紅美子の入口を優しく縦になぞると、徹の腰骨に手を付きながら腰が勝手に震えてしまう。やがて徹が入口の前方にあって、初めての他者の来着を待ちわびるように敏感になった雛先に触れてくると、紅美子は自分ですら聞いたことがない声を漏らした。
「クミちゃん、……すごくかわいい」
「徹……、も、もうできるかな?」
 ビクンッと脈打っている男茎のすぐ上で、指に愛しまれて濡れた場所を覗きこんだあと、潤んだ瞳を徹に向けた。
「うん……、たぶん」
「……もう。今度からもっと勉強して」
 と言って、紅美子は膝を踏むと、男茎の根元を持って上に差し向けた。「私が、するのでいいよね?」
「うん」
 紅美子は腰を下ろしていった。亀頭の先が入口へ触れると、徹が呻く。
「出る……?」
「……が、我慢する」
 腰を更に下ろすと、亀頭が門を圧迫する。たぶんココだ、と自分で分かる場所へ押し付ける。歯を食いしばっている徹がまた呻いたが、意識的に内ももの力を抜こうとしているのに、紅美子のそこは徹を押し返してしまう。怖かった。だが懸命に堪えている徹の表情と、自分のために硬直している男茎を見ていると、今日、繋がりたくて仕方がなかった。
(もっと、強くしないと、ダメなのかなあ……)
 徹に向かって腰を強く押し付けていくと、徐々に紅美子の体が開いていって、徹を受け入れ始めた。目を固く閉じて唇を閉めた紅美子は、遂に最後まで腰を下ろした。
「ん、んあっ……、ク、クミちゃん……」
 紅美子と結ばれ、根元まで紅美子に包まれる何にも代えがたい温感に、徹は叫びそうな衝動を必死に堪えていた。紅美子に触っていたくて、自分の体に跨っている紅美子の脚の付け根に手を添え、滑らかな肌を撫でた。
「待ってっ……! 動いちゃだめ」
「えっ」
 紅美子の言葉に手が止まる。
「……すぅーっ……っごく、いたい……」
 徹を見下ろし、声が震え、眉を寄せて顔を顰めながら、紅美子は片目だけを開けて努めて笑みを浮かべた。
「ごめんっ……、ぬ、抜くね」
「だめ」
 紅美子は思い切って前に倒れこみ、徹のうなじに顔を押し当てた。それだけでも下腹部に痛撃が走る。
「もっかいギューってして」
「うん……」
 徹は覆いかぶさってきた紅美子を両手でしっかりと抱きしめた。
「徹ばっかり気持ちいいって、ずるい」
「ごめん……」
「チューも」
「うん」
 うなじから顔を離した紅美子の口にも頬にも、徹が頭を上げて唇を押し当てる。
「……これからも、これ、してね」
「だって、クミちゃんこんなにつらいのに」
「いっぱいしていい……。でも」
 紅美子は鼻先を徹に押し当てたまま、近すぎてボヤける徹の目を見つめて言った。「……絶対付けて。……私、赤ちゃんは作りたくない」


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