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LADY GUN
【推理 推理小説】

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さよなら大好きな人…-3

 翌日の作業中、中川律子というリーダー格の受刑者が何人かの受刑者を引き連れて若菜に歩み寄る。顔を上げ律子を見つめる若菜。律子はニヤニヤしながら話しかけてきた。
 「あんたさぁ、どうして刑事のくせに人殺しなんかしたんだよ?」
完全に挑発的な態度だ。しかし若菜は怯まない。ニコッと笑いながら言い返した。
 「あいつ、ムカついてたんだよね。だからぶっ殺したくて仕方なかったの。それだけ。」
一瞬、律子のニヤケ面が消えた。
 「警察のくせにそんな理由かよ!アハハッ!気に入ったよ、あんた!私は中山律子。これからよろしくね。」
 「こちらこそ。」
もともと若菜と仲良くしたかったのかも知れない。律子は若菜をそこらの刑事とは違うと感じていた。殺人を犯したいきさつも知っている。だから一人で塞ぎ込んでいるように見えた若菜を放ってはおけなかったのだ。周りの受刑者達ともすぐ仲良くなった。若菜の表情はまるで幼稚園で仲間達と遊ぶ園児のように無邪気なものだった。
 「私、虐められるのかと思った。」
 「あんたみたいなの相手にしたら私ら全員殺されちまうよ!」
律子は笑い飛ばした。若菜はそれぞれが犯した話を聞き、一緒に悲しみ、そして怒りを露わにもした。犯罪者が全員正義でない訳ではない、それぞれに理由があるのだ。それを理解してくれる若菜に受刑者達も心を開いて行った。
 それにくわえ、若菜が実は天然である事に気付いていく。ある日の夜、なかなか寝付けない若菜に日高早苗が話しかけた。
 「どうしたの?寝れないの?」
若菜は悶々とした顔で悩みを打ち明けた。
 「お…オナニーしたい…。」 
 「はっ!?」
耳を疑った。
 「早苗さん、たまらないんですか?私、もうたまってたまって仕方ないんです!オナニーしたい!オナニーしてもいいですか!?」
 「こ、ここじゃマズイわ…!」
 「じゃあどこで!?」
 「し、知らないわよ!(な、何なのこの子は!?)」
慌てる早苗。
 「ああん、ダメ!オナニーしますね!?」
 「ダ、ダメよ!」
 「あーん、我慢できない!看守さん!看守さ〜ん!!」
 「た、頼むから我慢して…!」
何だか知らないがついつい土下座して頼み込む早苗。
 「あ〜ん…」
不満そうに布団にくるまりそのまま寝てしまった。
 (この子、なんか嫌…)
疲れ果てた早苗だった。
 次の日の朝礼の時だった。若菜がとんでもない事を聞いた。
 「すみません!オナニーしたくなったらどこですればいいんですか?」
 「はっ??」
唖然とする看守と受刑者達。
 「が、我慢できませんか??」
 「できません!」
呆れるほど堂々と答える。
 「できれば控えて貰った方が…」
しかし若菜は引かない。
 「受刑者はオナニーする権利もないんですか!?オナニーぐらいさせて下さい!頭がオカシクなりそうなんです!」
あまりにしつこい若菜に看守は困り果て、所長と相談する約束をしてその場を収めたのであった。


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