投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

LADY GUN
【推理 推理小説】

LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 388 LADY  GUN 390 LADY  GUNの最後へ

モンスター再始動-3

 自分の素直な気持ちを若菜に知って貰いたい訳ではない。分かって貰えるとも思ってはいない。ただ誰かに聞いて貰いたかっただけだ。自分の未来がもはや暗闇に包まれた今、精神的にかなり衰弱している様子が伺えた。
 「あんたの先輩にした事だってあの時は興奮した。でも今考えればよくあんな惨くて卑怯な真似をできたもんだと悔やんでる。」
 「もう取り返しはつかないけどね。」
 「ああ。その通りだ。あの時の俺は間違っていたから今、ここにいるんだ。結局俺は徹に利用されただけだ。徹は俺を助ける為に刑務所から出したのではなく、皆川静香の彼氏を拉致する為に俺を利用しただけだったんだ。情けねーや。徹が本当に大切に思っていたのは道彦だけだったんだよ。俺らは小さい子供のお守りをしてただけだが、道彦は違かった。あいつは徹の事を本当の弟のように可愛がってた。ろくに面倒も見ずにいい思いをしようったって、そりゃあムシが良すぎるってもんだ。自業自得だ、俺は。」
 「徳山らはもうとっくに人生やり直して、今ではすっかり気持ちを入れ替えて生きているのにね。少しはかり遅れたわね。普通の幸せを掴む権利を得るのが、ね。」
 「仕方ねぇ。それだけ俺のほうが馬鹿だったって事だ。」
がっくりと肩を落とす喜多。若菜は何も言わず見つめていた。 
 若菜はR4のメンバーであった徳山大二郎と中西淳也にも会っていた。それは捜査目的ではなく更生したかどうかを確認する為だった。2人とも若菜に対して素直に応対し罪を悔いていた。今では立派な社会人として生きている事を確認できた。残るは喜多だけであったが、この分なら大丈夫だという確信を得られた。亮子にしても矢沢にしてもそうだが、犯罪を犯した人間のその後が大切だと思っている。若菜は罪を犯した人間が罪の意識を持たずにいる事が絶対に許せなかった。
 (あいつは罪の意識なんて一生持たないでしょうけどね。)
若菜は田口の顔を頭に思い浮かべた。
 「刑事さん、気をつけろよ?徹は普通の人間じゃ…」
 「分かってるわよ、散々。」
面会を終えようと立ち上がった若菜に向かって喜多は言った。
 「死ぬなよ?」
その言葉にニコッと笑う若菜。
 「どっちかは…死ぬわ。」
 「えっ?」
若菜は振り向きざまにそう言って去って行ったのであった。


LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 388 LADY  GUN 390 LADY  GUNの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前