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野郎共のワールドカップ
【スポーツ 官能小説】

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終戦-1

ナタルで行われたギリシャ戦。
サムライブルーは前半から攻勢にでてボールを完全に支配していた。
相手ゴールを常に脅かし続ける。
ギリシャも身を挺してゴールを守る。
熱い攻防の中ギリシャのヅラデスに2枚目のイエローカードが提示される。
そしてそれはすぐに赤い紙に変わる。
ここからは11対10の戦いになる。
日本代表は圧倒的有利になるはずだ。
みんなが勝利を期待する。
その戦いの行方をベンチから阿川真一が見つめていた。

どうにもコンディションが上がってこない阿川。
ガチムチ揃いのギリシャ人男性達。
連日の連携強化により状態は上向いてはいたのだが今回は勝たなくてはいけない試合。
小柄な男が好きで、大柄な野郎を前にしてしまうと委縮してしまう阿川をどう使うか。
豊田の前でも少し委縮してしまう阿川だがポテンシャルは日本屈指である。
フック監督は頭を悩ませた。
そして一つの決断をした。
阿川のテンションが上がってきてから投入しようという作戦である。
近藤と同じく、後半からの切り札として起用することが、当日伝えられた。
やる気満々だった阿川は少し肩すかしをくらった。
テンションがた落ちである。
試合前、そんな阿川を見た豊田がいきなり抱きついてこう囁く。
「美味しいところはお前に残しておいてやるからな。」
阿川のフラッグは少しだけ反応した。

そうして戦況を見つめる阿川。
退場者を出しながらもギリシャの守備は粘り強い。
日本代表が圧倒的有利に試合を進めるも決定打が出ず前半戦が終了する。
フック監督がイタリア語で熱心に指示を出す。
だがサムライ達も試合を有利に進めている事はわかっている。
全ては予定されたゲームプラン通りだ。
あとはゴールを決めるだけ。
キャプテン田辺に代わり後半から近藤が投入される。
ここからさらに攻勢に出るはずだった。

しかし、変わらぬ戦況。
10人になって開き直ったギリシャはゴール前をガチガチに固めてくる。
元々ディフェンス力は世界屈指のチームである。
人数で勝るとはいえそんなチームにここまで固められたら簡単に事は運ばない。
攻めながらもゴールを脅かす事すら難しくなってきた。
ここで阿川真一が投入される。
プレッシャーのかかる場面だ。
やる事は決まっている。
ガチムチのギリシャ人達のゴールマウスに無理やりシュートをねじ込むだけだ!

だがゴール前の圧力は半端ない。
フィジカルに劣る阿川はすぐに相手ディフェンスに後ろを弄られてしまう。
やはり一人で大柄な人を相手にするのは厳しい。
だが満足なサポートもないまま、幾度となく押し倒される。
(もうやだ、帰りたい・・・)
阿川の心は折れそうだ。
サムライ達も奮戦するがなかなかフィニッシュまで行けずに時間だけが過ぎていく。
日本代表のゲームプランは失敗だ。
結局最後までギリシャゴールを割ることはできず試合はスコアレスドローに終わってしまった。
もう自力での予選突破は不可能となってしまった。

試合後、ロッカールームで項垂れるイレブン。
インタビューでは可能性がある、次の試合もベストを尽くすとコメントを絞り出すが表情は暗い。
フック監督も健闘を称えながらも解決すべき課題の大きさに頭を悩ませる。
「終わった事は仕方ない。明日から頑張ろう。」
もはやサムライ達に出来る事は決まっている。
次の試合もベストを尽くし勝利をもぎ取るだけだ。
試合後のミーティングを簡単に終わらせ、日本代表はイトゥへ帰って行った。

梅林はテレビで全てを見ていた。
今回ほど、帯同出来なくて悔しい思いをした事はない。
代表のためにその身を捧げていた者にとっては、悔しさは痛いほどよくわかる。
だからこそ精いっぱいサポートしなくてはならなかった。
梅林は身体を綺麗に洗い、全ての無駄毛を剃り落とし、万全の態勢で代表の帰りを待った。
だが、あまりのショック故、その夜は誰の相手をする事もなかった。
今までではありえない事である。
それほどまでに今日の敗戦は大きかったのだ。
梅林は何もできない自分に涙した。


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