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透明な滴の物語V
【同性愛♀ 官能小説】

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黒い雨雲-4

そう悲しそうにつぶやくのを恵子は聞いた。
「せっかく仲良くなったのに…」
少しすすり泣いているようにも見える。
聡美の乳首を含みながら恵子が横目でじっとその様子を見ていた。

熱い時間は終り、聡美はブラジャーを身に着け始めた。
さりげなく恵子が尋ねた。
「ねえ聡美。その後、祐梨さんとはどうなの?」
聡美が苦笑いしながら答える。
「まんまと、私たちの世界に引きずりこんじゃったわね」
「聡美は後悔しているの?あんなことしちゃって」
そう言われると聡美は確信が持てなかった。
「わからないわ。でもあれ以来、祐梨は私をとても慕ってくれているわ。子犬みたいに可愛いの。なんでも私の言うこと聞いて…」
しかし、そこまで言うと急に表情が曇った。
「でも、どっちにしろ、もうすぐお別れだから」

恵子は、祐梨の転勤希望のことを聡美から少しだけ聞いていた。
「祐梨さんの転勤って、確実なの?」
「間違いないと思う。来年の春には、そうなると思う」
聡美の言葉が詰まった。

才色兼備の聡美だが、もろい一面を見せることを恵子は知っていた。
聡美は同性に対してしか愛情を持たない。
そして、その愛情関係は限られた時間が経つと、突然消え去ってしまうものと思い込んでいるように見えた。
聡美の愛情はいつも引き裂かれる運命にある残酷なものであった。
今回も、せっかく築いた祐梨との関係は時間限定であった。
その残酷さは爪をはがされるような痛みをともない、聡美の心を刺すのである。

ふと、恵子が口にした。
「聡美と祐梨さんを見ていると、佐和子さんと聡美のことを思い出すわ」
佐和子は聡美の先輩だったが、結婚して退職していた。
聡美がたしなめる。
「ちょっと恵子。佐和子さんとは、私たちのようなズブズブの関係じゃなかったわよ」



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