dream・road〜scene-1st-9
「ねぇ、タツヤ!今からお祝いしようよ!」
「……」
龍矢はまだ固まっていた…。
マリアのアパートの前に、一人の男が立っていた。金色の髪に白のスーツを着込んでいる。
「…間違いないの?」「ああ…」
スーツの男にブラウンの長い髪を揺らめかせた女性が問う。
「大きくなりやがって…」
「会っていかなくていいの?」
「せっかくの二人の時間に水は差せないだろう…」
男の言葉に、女は薄く笑う。
「意外と大人なのね」
「なんとでも言え…」
男はアパートを見上げると、その場所を後にした。
「あん、カイ!待ってよ」
女が男の名を呼ぶと、男はただならぬ雰囲気をまといながら振り返った。
「レイラ…その名前は捨てたんだ。二度と口に出すな…」
「…悪かったわ。気を付ける」
「あいつはまだまだ強くなる…今はまだ俺の出る幕じゃあない…」
カイと呼ばれた男と、レイラは夜の闇へと消えていった…。
マリアと龍矢の夢は合わさり始め、さらに輝きを増す…。
しかし、夢の光が強くなるほど周りには深い闇が落ちる。
龍矢たちは、夢の光を掴むことが出来るのだろうか。はたまた、闇に飲まれてしまうのか…。
それはまた、別のお話…。