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dream・road
【青春 恋愛小説】

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dream・road〜scene-1st-5

「ねえ、ダニー。タツヤ…勝てるかな…」
「勝てるさ!だからちゃんと応援しないとな!」


二人で少し話をしていると、客たちがざわつき始めた。

「え?えっ?」

マリアはなにがんなんだか分からなかったが、

「タツヤが来るぞ!」

ダニーの一声で体に緊張が走った。

リングへの道を歩く龍矢を見て、声をかけようとした時だった。

『引っ込め!ジャップ!!』
『負けちまえよ!!』

他の観客の罵声を聞いて、マリアは内心不快だった。
大きく息を吸い込むと、ありったけの声で龍矢に叫んだ。

「タツヤ〜!!頑張って!!」
「うおっ!」
マリアがいきなり発した大声に、ダニーはサングラスがずり落ちるほど驚いていた。



龍矢の耳にはマリアの声は届いていなかった。龍矢はリングに上がり、ライトを仰いだ。

(ここが…俺の居場所…)

昨日襲った震えは不思議となく、代わりに限界まで集中力に満ちていた。

レフェリー(審判)に促され、対戦相手とリングの中央へと集う。
レフェリーが何かごちゃごちゃとぬかしているが、龍矢には聞こえていなかった。
目の前の対戦相手は完璧に舐めた目つきでこちらを見ている。
浅黒い肌の男の目には、相手を見下すような輝きがあった。
段々と顔を近付けてくるが、避ける理由もないので龍矢もにらみ続ける。
額と額が当たっているが、目線は絶対に外さない。


レフェリーが二人を引き離し、合図をかけた。

『…FIGHT!!』

カァン!!

ゴングの乾いた音と共に、龍矢の夢は始まった。



マリアは気が気でなかったが、序盤の立ち上がりは思いのほか静かだった。

お互いに牽制を出しあいながら、攻撃のチャンスを窺(うかが)っている。
龍矢は踵までをしっかりとリングに踏みしめている。

「タツヤはインファイターか…」
「ダニー、なにそれ?」
「タツヤのスタイルさ。普通の奴と違って、ステップとかはあまり使わずに、一気に距離を詰めて接近戦でケリを着ける…パンチに自信があるんだろうな」

ダニーの説明を聞き終えたとき、リング上の様子が変わり始めた。相手の勢いがタツヤを押し始めたのだ。
段々と龍矢に攻撃が当たり始める。龍矢も手を出すが、尽く弾かれ、避けられる。
相手の放った拳が龍矢のガードをすり抜け顔面に入り、龍矢の顔が吹き飛んだ。
相手のラッシュが龍矢の顔に、腹にと降り乱れる。


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