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透明な滴の物語V
【同性愛♀ 官能小説】

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千帆の告白-2

千帆は救いの相手を、ほかならぬ麻衣に求めたのだ。

ある日の下校時、千帆が麻衣に近づいてきた。
麻衣は警戒した。
あの日以来、千帆とは会話をしていない。
しかし、千帆の表情に思いつめたような鎮痛さが漂っていることに気がついた。
「麻衣、今日は真っすぐ家に帰るの?」
「ええ、そうよ」
麻衣が答えると、千帆は少し躊躇した様子ではあったが、思い切ったように言葉を吐き出した。
「ねえ、麻衣…。一緒に帰らない?」

千帆は麻衣の少し後を少しうつむきながら歩いてくる。
何か、隠していることを打ち明けたいような様子。
胸に何かがつかえている感じ。
(千帆は私に何かを伝えたがっている)
それを知りたい好奇心が勝った。
「ねえ、千帆。私の家に寄っていかない?」
千帆は、そう言われることを待っていた。
コクリとうなずいた。

麻衣の家は古い団地にある。
姉が出て行くと宣言して以来落ち着かない日々を送っているが、麻衣にとっては姉との思い出が詰まった大切な家だった。

二人は麻衣の部屋で話し合った。

麻衣は、あの日から今日まで、腹に据えかねていた怒りを千帆に投げつけた。
「千帆!この前はどういうこと?私の病気のことをみんなにバラすなんて!」
すると、意外なまでに千帆は弱々しく崩れた。
「ごめんなさい!」
学校鞄が千帆の手から滑り落ちた。
「ほんとうに、ごめんなさい…」
そう言うと、力なく絨毯に両膝をついてしまった。
長い黒髪から覗く表情は、ひどく疲れ切っているように思えた。
こんなに弱った千帆を見るのは初めてだった。



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