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LADY GUN
【推理 推理小説】

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売春区域-6

 いなぎ市総合病院に加藤正剛が到着した。未だにテレビでも取り上げらる程に注目度の高い綾美は集中治療室で厳重に警備されていた。
 「綾美!!」
正剛は一目散に綾美の下へ駆け寄る。しかし目も表情も虚ろだ。正剛の言葉に反応はするが意識は向いていなかった。
 「コカイン…早く…。ちょうだい…」
ずっとその言葉を繰り返していた。涙を浮かべて必死に名前を呼ぶ正剛だが全く届かない。様子を見て医師が正剛を宥める。
 「娘さんは極度の薬物中毒を患っております。回復まで相当時間がかかるでしょう。いえ、もしかしたら完全には治らないかもしれない。これから娘さんは長く苦しいリハビリに立ち向かわなければなりません。だから家族のサポートが必要なんです。一緒に立ち向かっていく覚悟を決めていただきたい。」
医師の言葉を真摯に受け止める正剛。
 「勿論です。私の人生を全て綾美のこれからの人生に捧げるつもりです。綾美を絶対に元通りにしてやる…。絶対に…。」
医師は頷いて病室を出て行った。すれ違いで若菜が入る。
 「失礼します。」
一礼して歩み寄る若菜。
 「私、千城県中央署の上原若菜と申します。」
そんな若菜を見て正剛は頭を深々と下げた。そこには元警視庁総監らしい姿はなかった。
 「存じてます。私のせいで皆川静香くんを殉職させてしまい誠に申し訳なく思っております。あと、綾美を救ってくれてありがとうございました。」
頭を下げたままそう言った。若菜自身、正剛の独断での指示が静香を死に追いやる原因になった事に対して怒りの気持ちを持っていた。しかし目の前の正剛を見た瞬間、その蟠りはすぐに消えた。なぜなら目の前にいる正剛はただただ娘を想う普通の父親の姿だったからだ。
 「とにかく良かったです。綾美さんを発見できて。」
 「感謝しております。」
そして若菜はこんな事を言ってみた。
 「もしあなたが現役だったなら、私に警視庁総監賞をくれましたか?」
 「えっ…?」
困惑する正剛。少し考えてこう答えた。
 「それはないでしょう。救われたのが娘でも、そうでなくても。田口を逮捕したならあげただろう。ま、でも…賞を与えないかわりにディナーぐらいはご馳走したかも知れませんね。」
その言葉に若菜はニコッと笑う。
 「私もそのほうが嬉しいと思います。」
若菜の笑顔につられて正剛は少しだけ口元を緩めた。


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