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LADY GUN
【推理 推理小説】

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売春区域-7

 医師が再び入って来た。
 「そろそろ面会は宜しいですか?これから娘さんは幻覚と幻聴で苦しむ頃です。暫くは続くでしょう。収まるまで医療スタッフのみで看病します。」
 「分かりました。」
正剛と若菜は病室を出た。心配そうな顔を崩さぬままに正剛は若菜とともに一階のロビーの椅子に腰をおろした。
 「私はあの時、正常な判断が出来なかった…。いや、正常な判断をしていたつもりがただただ自分の娘を救いたい一心で誤った判断をしてしまった。結果色んな人を悲しめる要因になってしまった。」
 「もう過ぎた事ですよ。誤った判断をしたというお気持ちをお持ちなら今のあなたは正常だって事です。悔い改めてやり直すのは悪い事ではありません。勇気のいる事です。」
穏やかに話す若菜。正剛は若菜を見つめる。
 「君のお父さんも模範的な優秀な刑事だった。彼が亡くなった後、皆川静香くんが全国警察官技能検定競技大会で優勝した時の警視庁総監は私だった。あの時の彼女の姿は私は一生忘れないだろう。そして君も同じ道を歩んだ。君を見ていると皆川くんを思い出すよ。君はきっと立派な刑事になるだろう。」
 「ありがとうございます。でも私は優勝した喜びから実弾を発砲するような事はしませんでしたよ?♪」
 「ん?ああ、そうだったな。あれは驚いたよ。みんなに口外せぬよう必死で口止めしたんだったな。フフフ」
極めて穏やかな正剛。
 「君の笑顔は勇気をくれる。綾美が心配でとても笑える状態ではないのに、笑顔を与えてくれる。反省よりもこれからへの意欲を与えてくれる。いい笑顔だ。」
 「でしょ??アハッ。笑顔を無くした先輩ですら笑顔になったこの笑顔…、自信ありますから。」
 「ああ。」
正剛の笑顔こそ穏やかで味があると感じた。
 「上原刑事、絶対田口徹を捕まえてくれ!あいつに罪を償わせてやるんだ!悔しいが私にはもはや何も出来ない。私は君なら成し遂げられると信じている。田口は手強い。しかし何としても…」
若菜は正剛の手を握り締め言った。
 「必ず田口徹に罪を償わせます。」
笑顔が消え瞳に鳥肌が立つ程の燃え上がる炎を感じた。並々ならぬ気持ち…そう受け取るか、危険な感情…そう受け取るか判断に苦しむ正剛であったが、若菜なら田口徹を必ず捕まえてくれそうな気がしてならなかった正剛だった。


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