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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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佐藤家の過去-5

優しく抱きしめる母、ダガしゅうは知っていた母がどんなに働いても足りない事実を
それ以前に母を苦しめたくない・・、姉も自分達の事は気にせず夢に向かって突き進んで
もらいたい、父も本気で自分達を見捨てた・・何て信じず何処かで自分達の為に行動を
してくれて無事でいて欲しい・・、そう願う少年は母に抱かれ眉をこわべ決意する・・


「ただぁいまぁー」
居間の時計が9時を指す中、元気な声で息子に言う母
「・・お帰りっ!お疲れさん」
とびっきりの笑顔でキッチンで出迎えるしゅう、案の定母の為夕飯を作って居るそうで
そんな彼に驚いた母がどうしたのかと彼女も調理する彼の元へ行くと

「お腹空いたでしょう?もうじき出来るから・・」
と、何を語るでも無く、ただそう優しく言うしゅうに戸惑うはあるも心の疲れが
取れた気のした母

「にしても働き過ぎだよ、いくら何でも一日10時間も働く・・何て、たまにはさぁ
休んで温泉にでもゆっくり浸かったら?」
夕飯を終え一段落し、ソファーへゆっくりと腰を下ろし彼の入れたお茶を飲み寛ぐ母

「そんな訳には行かないわよ、幸子に送金だってしてあげたいし・・それより貴方
バイトとか考え無いでよ?そんな事お母さん許しませんからねっ!」

息子に苦労して欲しくない、その想いに関しては口調が強張る母
「・・俺、まだ小学生だよ?出来る訳ないじゃん」
「家事だって慣れない事しないで頂戴、貴方には一切迷惑掛けるつもりないから
だから貴方は今まで通り普通に学問やスポーツに青春を謳歌なさい、いいねっ?」

母は息子には苦労を掛けたくない、こんな大人の勝手な都合で何も罪の無い我が子が
嫌な思いをしてやりたい事も我慢させられる・・だなんて

母もまた息子しゅうに似てしっかりとした心優しい母親だった・・
しかし、それを決意する代償は彼女のか弱い身一つではあまりにも負担が大きかった

「ちょっと!佐藤サン、あれほど店の広告を替えとけって言ったわよねっ!」
母の務め先のスーパーで図太い体型のオバハンが母に罵声を浴びさせる、周りに沢山の
客が居るにも関わらず
「す、スミマセン・・ちゃんと張り替えたつもりですが・・」
疲れきった声で品出しをしつつ声を張り上げ

「はぁ!?後から入ってきた分際でこの私に口答えする気?」
「そ、そんなつもりは・・」
「やる気が無いならとっとと辞めれば?私のスーパーが汚れるカラァ、アンタ見たいな
負け犬が消えればこのスーパーも清潔になるだろうねぇっ!」

人前で大声で鳴り止まない罵声を上げるオバハン、周りの客も迷惑そうにヒソヒソ言い
二人から離れ・・、それを見たオバハンは更に
「あらあらあらあらぁっ!客がどんどん減ってく、やっぱアンタ臭いのよ、あーあぁ
とんだ営業妨害ね、仕事も出来ない商売の邪魔はする、アンタ最低ねぇ?」
それはどっちだっ!・・とでも言いたい気持ちをグッと堪えその想いを拳を握り必死に
押さえ、オバハンはそんな彼女の様子も知らず

「これ終わったら商品、裏から運んで行ってねっ!」
と言いたい事を言うだけ言ってのっしのしと去って行き

「んんぅー・・しょっ!」
声を挙げ、言われた通り重たい商品の入ったダンボールを誰に手を貸して貰うでもなく
一人でその可細い腕を震わせ本来例のオバハンがやる筈だった仕事をしぶしぶ行い

「っ!邪魔だ、ちんたら運ぶなパートッ!」
イラ付いた裏方の従業員に罵声を浴びさせられ母も軽く謝り彼女の横には天井まで積んである機材や道具があり、壁に倒壊注意!・・と言う張り紙が

「はぁ・・・、もう疲れたぁ」
重い荷物を目的地へと置き、腰を挙げると同時に溜息を付く
それから母はその後更衣室へと向かおうとするとそこに

「ちょっと!アンタ!」
例のオバハンが母を呼び止める
「あっ、お疲れ様ですっ!」
「お疲れ様です・・じゃないわよっ!何帰ろうとしてんのよっ!」
「えっ?今日は私定時に帰るって言って・・」

「そんな事知らないわよっ!アンタ私に一人嫌な仕事押し付けて一人あがるつもり?」
後輩の口答えにイラッとし裏で突然怒鳴り出し
「だって・・」
「だっても何も無いわっ!ゴミが溜まってるから指定場所に集めといて、ゴミみたいに
腐ったアンタにはお似合いでしょう?」

「でも私、今日はホントに帰らせて頂きますっ!息子が私を心配して待っているでしょうからぁっ!」
今回に限っては強い口調で恐くて大嫌いな先輩に物申す母、しかしオバハンはそんな後輩
に、悪魔の言葉を吐き出す

「大丈夫っ!どーせ馬鹿母の馬鹿息子でしょ?アンタに似て鈍感でしょうからぁ!
今頃好き勝手やってるんでしょう?アーーハッハッハッハァ!」
上手い事言ったと思いその薄汚い口を動かし腹を抱えて大笑いする・・

この時、母は家族想いの優しい息子を思い返し、心の底から何かが湧き出してくるが
「何よっ・・その目」

母の考えてる事が分かるかの様に自分を強く睨みつける後輩に言い返す
「いいのよ別に、帰りたきゃ帰っても・・店長に在る事無いことなーんでも言いふらしちゃうから・・」
「!」

実はこのオバハン、10年以上このスーパーに勤めている大ベテランだが非常に陰湿で
ある日店長の不信な動きに何かあると思い、後をつけるとその店長がある女性従業員と
不倫関係に在る事を知り、それをネタに店長を脅し自分の思うがままにこのスーパーを
操り、過去にも気に入らない後輩を無理やり解雇させその上ありもしない横領容疑を
賭け高い罰金をさせ自分が今まで稼いだ以上に金を取られて・・

「どーぞぉ帰りたきゃ帰りなさい、まぁそれで明日ものうのうとここで働けるかどうか
保障は無いけどね」




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