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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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佐藤家の過去-4

「・・でもそういうのってけっこうリスク・・あるよね、やりたい事が出来たにせよ」
冷静に指摘する幸子

「なぁーに、心配すんなって!これからもっと利益をあげて、そしたらもっと収入が
増えて、お前たちはもっとラクが出来るぞー、幸子の夢だった海外留学だって
可能かもしれないしなっ!」

「・・ふふ、まぁ一応期待しておきますよっ!」
和やかな家庭風景・・、ダガそんな穏やかな日常は、父の事業失敗によって
激しく音を立てて終わる・・


「一体どうするのよっ!」
居間に響き渡る母の悲痛の叫び
父の建てた会社である横領事件が発覚した・・、それは父が信用していた部下が密かに
会社の金を盗み、その後は音信不通、警察も行方を追うものの手掛かり一つ見つけれず
ついには捜査は打ち切り、結局盗まれた金は一切戻って来ず、部下に払う給料も無く
会社は倒産・・、新しい働き場も丸で見つからず家族を養う収入もなく、それ所が

「ハッ、今度金が用意出来なかったら・・分かってんだろうな?」
ガラの悪い男二人組が玄関で土下座する父に罵声を浴びさせる
会社が倒産し多額の借金ダケが残り、ほぼ毎日のように取立屋が押し入って
そんな状況ゆえに家族にまで多大な迷惑が掛かり

「お母さん、今日も遅かったね・・」
少しやつれた顔でアイロン掛けをする娘に出迎えられる母
「ゴメンね遅くなって、さぁお腹空いたでしょう、今ご飯作るカラ」
と、疲れた体に鞭を打つかの様にキッチンへ向かう母の背中に向かって
「もう済ませたよ」
と短い言葉、見るとキッチンに二人分の皿が洗ってあった

ソレを見た母が少し無言になっていると向こうからドアの開け閉めする音がし
それはべロンベロンに酔って帰ってきた父で、そんな父を見た幸子は怒り心頭に
「何やってるのよっ!人がこんなに苦労してるのにっ!」
怒る娘の言葉は父の耳には入らず、そのまま寝室へ倒れこみ
追っかけようとしたら寝室から「すまなーい・・」というヨレヨレの声が響き
幸子も言っても仕方が無いと力がスッと消え


「ゴメンね、幸子」
ひと通りやる事やった、親子は静寂な居間で話し合う
「そんなっ、何お母さんが謝ってるのよ悪いのはお父さんでしょ?
アレだけ大口叩いてこのザマっ、何がもっとお前達をラクにさせてやる・・よ!」
テーブルを強く睨む幸子
「幸子・・」
皆の苦労も知らずデカイいびきをあげ寝る父、視線を寝室の扉からテーブルに移し

「・・無責任過ぎる、家族に苦労を掛け借金も残して置いて自分は外でロクに仕事も
探さずに飲んだくれてっ!」
「幸子・・それは・・」
「・・お母さん、私大学行くの辞める」
「えっ?」
本来であれば幸子は高校卒業後、夢だった看護士を目指し東京で一人暮らしをし
大学で勉強する筈だったが

「何言ってるのっ!看護士になるのは貴女の夢なんでしょ?そんなのお母さん
認めませっ!」
「ケド、そんなお金無いじゃないっ!・・それ以前に放って置けないでしょ!
母さんとしゅうを置いてっ」
「でも・・」
「大丈夫だよ、看護士になりたい・・何て夢そこまで本気で思ってないから」

笑顔で母にそう言う幸子、その後自室へ戻る・・そのさいしゅうとすれ違い
「・・うっ、うっ幸子・・ゴメンね・・本当に」
母は知っていた、娘がどんな想いで看護士を目指したか・・
静寂な居間で一人泣きじゃくる母の弱弱しい背中をじっと見つめるしゅう


「・・ホントに、大丈夫なの?」
自宅付近でスーツケース片手に疑問を母と弟に向ける幸子
「俺達の事は心配無いカラ行ってきなよ姉ちゃん」
「・・でも」
「確かに借金はあるし、お金だって丸で無い、父さんだって何処か行っちゃったし」
あの後、父は何時の間にか帰ってこなくなりその後音信不通となり
「でもっ!節約して行けば何時かは何とかなるよっ、借金だってそうしてけば無くなる
だろうし・・」

それでも困惑する娘に母が
「大丈夫よっ!お母さんこれまで以上パート時間増やして稼ぐから」
その言葉に自分の愚かさに気づいたかの様に
「やっぱり駄目よっ!家族に迷惑掛けて追う夢何てっ!」
咄嗟にスーツケースを引っ張り家に戻ろうとする幸子・・しかし

「幸子っ!」
娘を呼び止める母、そしてゆっくりと娘の下へ駆け寄り
「・・お願い、東京へ行ってっ!そして自分の夢を・・他でも無い貴女だけの夢を
叶えてっ!」
「・・お、母さん」
「私なら大丈夫!この通りピンピンしてますからっ」
と拳を握りガッツポーズをする母に沈黙姉にしゅうが

「しっかり、自分の夢に向かって頑張って!」
「・・しゅう」

自分の夢を叶えさせ様とする二人の目は濁りなく真っ直ぐな瞳に幸子の視界が次第に
涙でぼやけ
「絶対っ!絶対叶えるカラッ!立派な看護士になって必ず帰ってくるからっ!」
愛する母を強く抱きしめ・・

「何よっ!いっぱしに偉そうにっ!・・、母さんの事頼んだわよっ!」
次に最愛の弟に想い一杯に抱きしめ


そして姉幸子は二人の想いを受けその家を後にした
 視界に外れるまで暖かい目で見守られつつ・・


「・・有難う・・しゅう」
娘を無事に向かえ家の居間に戻る二人
「えっ?何が・・」
「だって貴方今朝言ったじゃない、東京に行くかどうか迷ってた幸子に貴方まで
後押ししてくれて・・、色々と言ってくれた見たいで」

「そんなの別に大した事じゃないよ、俺だって姉ちゃんには自分の夢に向かって
突き進んで欲しいもの・・、俺も姉ちゃんの事大好きだから・・」
「・・しゅう」

姉を想う息子に心打たれ、しゅうを抱きそして・・
「一緒に頑張って行こうっ!母さん必死に働くから、だから貴方は何時もどうり学校へ
行きなさいっ!いいわね?」


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