到着した所長の行きつけのスナック-1
静かな場所にある若いママさんの店に入り、年上の所長のことを「のりさん」と呼んでいた。
ママは、美人の有村さんを見た途端「うちで働いてほしい」と喜んでいる。
お任せで注文して、つまみとビールが出てきて、
「ほれ」
所長はビール瓶を有村さんに向けて、
「歓迎会じゃないんだし、なくなったら注いであげてよ」と言った、
有村さんは「はい」と快く差し出された所長のコップに注いでる。
所長はそれを一気に飲みほしビール瓶を奪い、有村さんのコップに注いだ、
「はい、ご返杯」
並々とそそがれたビールを有村さんは、
一口飲んで「有難うございます」と所長の持っているビールを取ろうと手をだす、
すると島井先輩が横からその手をつかみ、
「あ〜ダメだよ有村、全部飲んでくれなきゃ失礼だろ?」と真面目な顔で言う。
「え、でも、あまり飲めないので」困った顔が可愛い、
「営業はそれが当たり前なんだよね」戸塚先輩も追い打ちをかけてきた。
飲まなきゃならない雰囲気に負けて、有村さんは何回かに分けて飲み干すことが出来た。
「おお〜」「いいね〜」と先輩たちが盛りあげる。
「じゃ俺もお願いね」
すかさず島井先輩がコップを出し、有村さんは急いでそのコップに注ぐ。
当然のように一気飲みして「ご返杯」されるのだ。
「これ以上むりです」と自分のコップを引きながら抵抗してると、
横にいる所長が掴んで止めた。
あふれそうなほど注がれたビールを、有村さんは両手で持って、
ゆっくりと飲みだし皆で盛りあげる。
二杯目も飲み終えた有村さんは
「ふぅ〜」と大きなため息をしながらコップを置く。
次は戸塚先輩がコップを差し出し、
有村さんは「もう限界かもしれない」と僕をみるのだ。
僕も同じ新人なので気をきかし「僕が注ぎますよ」と手をだすと、
「ありがとう」って有村さんは渡してきた。
それを見た戸塚先輩は
「ふざけんなよ、俺だけ有村ちゃんじゃないのかよ」と僕をにらむので、
申し訳ないが有村さんにビールを戻した。
げんなりした顔でビールを注ぎ、ご返杯がくる。
「もうダメです ほんとダメですって」
とコップの上に手で蓋をして隠しているけど、
皆楽しそうに有村さんの手を引き離しコップを持った手を戸塚先輩の前に出した。
増えていくビールの量と男たちは盛り上り、有村さんの表情は暗い。
有村さんを心配して横から見ていると、所長の大胆な行為に気づいてしまった。
なんと腕を抑えている所長が胸に手を伸ばして揉んでいるではないか。
酒と部分麻酔が効いてるのか、コップに集中している有村さんは気づいていない。
島井先輩も所長の行為に気づき、二人は目を合わせてニヤけてた。
泣きそうな顔で「こんなにいっぱい」とつぶやいてから、
顔をあげて頑張って飲んでいる、
口の端から溢れるビールがいやらしい。
空になったコップをおき
「あ〜ダメ、もう無理」と頭を垂れると、所長が背中をさすってた。