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蔵の嗚咽
【近親相姦 官能小説】

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第二章-4

 伯母の声で目を覚まし、私はそのまま寝たふりをしていた。
(まずいことになった……)

「タエ、どういうことなの?なんで隆司ちゃんがここにいるの?あんた、どうして……」
大きな声ではないが、少し震えたような声だった。
 タエは着替えながら、ただ、すいません、と繰り返した。どうやら寝過したタエを伯母が起こしにきたところ、私が一つの布団で寝ていたものだからびっくりしたようだ。

「まったく、変な真似をして……」
タエは小走りに部屋を出て行った。
 私は寝返りを打って廊下を背にして横向きになるとじっと動かないでいた。気配からすると伯母はまだ廊下に立っている。見下ろしているにちがいない。ひしひしと視線を感じながら、あとで伯母にいろいろ訊かれた時の言い訳を考えていた。

 朝食の間、誰もほとんど口を利かなかった。沈んだ空気が漂っていた。ときおり伯父が、「しょうゆ」とか「お茶……」などと言葉を挟むだけで、その度にタエは怯えたように立ち働いた。
 ふだんならその伯父も私に笑いかけながら今日の『予定』を訊いたり、どこかへ誘ってくれたりするのだが、気むずかしい顔をしているところをみると『事の次第』が伝わっているようだった。

 私は早めに食事をすませて釣りに行こうと考えていた。居たたまれない雰囲気が張りつめていた。
(夕方までずっと川にいよう……)
お昼に帰ってきてもこの空気は変わらないだろう。

「ぼく、釣りに行ってくるから……」
伯父と伯母の顔を見ないで言った。

 部屋で仕掛けを作っていると足音が聞こえた。
(やっぱり来た……)
伯母の歩き方だ。私は身を引き締めながらもなにげない風を装って手先を動かし続けた。

「隆司ちゃん。釣りに行くの?」
「うん……」
「一人で?」
「そう……」
「伯父さんも一緒に行きたいって言ってるわよ」
内心、厭だなと思ったが、断る理由もない。伯父は教員なので夏休みはほとんど家にいる。
「いいよ。行っても……」
「そう。じゃ、言っておくね」
伯母は戻りかけてから、私のそばに来て膝をついた。
「隆司ちゃん。ゆうべは自分でタエのところに行ったの?」
「うん……」
「なんで?」
私は咄嗟に『子供らしい』口調で話すことを思いついた。
「だってさ、怖かったんだもん」
「なにが?いままで一人で寝てたじゃないの」
「この前トイレに行ったらお化けの声がしたんだもん」
「お化け?」
「なんか、猫みたいな、怖い声」
人の声だとは言わなかった。

 伯母は少し黙ったあと、
「猫でしょう……」
そして言葉を切ってから、
「タエはあんたに何か言った?」
「何も言わないよ」
「何かしたりしなかったわよね?」
「何かって?」
汗まみれのタエの乳房が鮮明に脳裏をよぎった。
「いえ、何も別に……。なければいいの」
そう言うと息をついて立ち上がった。
「今度怖かったら、伯母さんのところにいらっしゃい」
私は伯母を見上げて、はっきりと、
「はい」と答えた。

 息が詰まると思っていた伯父との釣りは案外楽しかった。伯父は釣りが上手くて淵にいる大きなヤマメを何匹も釣り上げた。
「今晩は塩焼きだ」
途中から木々に被われた細流を遡って沢がにをたくさん捕まえた。
「素揚げにすると美味いぞ」
朝の顔とは打って変わって歯を見せて笑った。

 伯父は昨夜の件については何も言わなかったが、帰り路、歩きながら前を向いたまま、
「タエは病気だからね」
「病気?」
「うん。病気みたいなものだ。だからやさしくしてあげないとね」
それきり黙ってしまった。よく理解できないまま私は頷いていた。

 病気という用語とタエが私の中では結びつかない。
(あんなに元気なのに……)
 オッパイをしゃぶると苦しそうなのに気持ちいいと言ったことと、蔵から聞こえた声。それに、おちんちんを見せてくれと言ったことなどを『病気』と重ねようとしてわけがわからなくなった。知恵遅れだということも日常、私には実感出来なかったのでなおさら不可解であった。

 どんな話になっていたのか知る由もないが、午後になって伯父がタエを連れて出掛けることになった。彼女の家に行くという。理由はわからない。
 エンジンをかけた車の後部座席にタエは座った。助手席でないことが何か違和感を感じさせた。
 車を見送ってから伯母に訊いた。
「タエ、もう帰って来ないの?」
「いや、来るよ。お話があるんだよ。おうちの人と」
心からほっとしたものだ。

 買い物に行くからと誘われて、私は宿題をするからと断った。伯母について行けば必ず何か買ってもらえるのだが、私の頭には『蔵』のことがこびり付いていた。思いがけず一人になる機会ができたことで好奇心が膨れ上がったのである。
(タエが変な声を出していたんだ……)
 小さい頃、何度か入ったことはある。重い鉄の扉は一人では開けられず兄と二人がかりで開けた記憶がある。中に何があったのか、憶えていないが、少なくとも子供の興味を引くようなものはなかったと思う。 


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