投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

dream・road
【青春 恋愛小説】

dream・roadの最初へ dream・road 5 dream・road 7 dream・roadの最後へ

dream・road-6

ロードワークを終え店に戻ると、ミゲルという老人は消えていた。

「ミゲルが夜の十時くらいに来るからその時にまた来いだってよ」

開店の準備をしながらダニーが話してくれた。
今度はまともに指導をしてくれるのだろうか…。小さな期待と大きな不安を感じながら、龍矢は店の仕込みに取り掛かった。
店が開き、慣れないながらも一生懸命に働いてる龍矢を見て、ダニーは笑みを浮かべていた。


昼の営業が一段落し、遅めの昼食をとっているとダニーは思い出したかのように呟いた。

「そういえば、今日マリアのやつ来てないな。いつもならコーヒーを頼みに来るんだが…。昨日なにか言ってたかタツヤ?」
「…いや、別に」

ダニーの言葉を聞いて、不意に昨日のマリアを思い出す。
あの後、ちゃんと家に帰ったのだろうか…もしかしたらまたなにかトラブルに巻き込まれているんのかもしれない…。龍矢に一抹の不安がよぎった。

「俺、見てくるよ。近いんだろ?」
「そうか。じゃあ今場所書いてやるから待ってろ」

ダニーの紙を受け取り、龍矢はマリアのアパートへと足を向けた。

十分くらいすると、地図の場所に到着した。階段を上り、部屋の号数を確認する。

コン、コン…。

「マリア…いるか?」

控え目なノックの後龍矢は扉に向かって声をかけた。しかし、返事がない。もう仕事に行ったか、それとも居留守を使われているのか…。
まさかと思い、試しにドアノブを捻ってみると、扉が開いた。

いないのだろうか…。中を覗くと、奇妙な光景が広がっていた。リビングの床の上には割れたコップと水が広がり、奥の部屋からはなにか物音のようなものが聞こえてくる。

(泥棒か…!?)

失礼なのだが、部屋の中に入り奥の部屋のドアの前に立つと、それは人の声だというのに気付いた。
龍矢は少し躊躇(ちゅうちょ)したが、意を決してドアを開けた。
そこには、ベッドの横でうつ伏せに倒れているマリアの姿があった。

「マリア!?マリア!!」
呼んでみるが、全く反応がない。龍矢はマリアを抱き起こすと、微妙な感覚を覚えた。
服が濡れている。しかも具合から長時間雨に打たれたのだろう。額に手を当てると、物凄く熱い。

「マリア!しっかりしろ!」
「…あ、タツヤ…なんで…」
「なんで濡れたままでいたんだ!?風邪引くのくらい分かるだろうが!!」
「……」

もう反論する体力もないのだろう。マリアはただ視線を向けるだけだった。
仕方がないので、服を脱がし、体を拭き、毛布を被せる。棚から新しい服を出し、風邪薬を探す。
薬を飲ませ、服を着せる。マリアの下着姿を見ると凄く気恥ずかしいのだが、今はそんなことを考えている場合ではない。
服を着せ終え、ベッドに寝かせると、龍矢はシアターとダニーにマリアの事を伝えた。


dream・roadの最初へ dream・road 5 dream・road 7 dream・roadの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前