おまけ2 フェアトレード・エモーション*性描写-4
甘えるように肩へ顎を乗せてくるルビーの愛くるしさに、メルヴィンの口元が緩む。
「……き」
肩口の小さな呟きに耳をすませば、きつく目を瞑ったまま、うわ言のように「好き」と繰り返していた。
「メルヴィンさま……すき……」
理性を剥ぎ取る甘い声
「ルビー、もっと言ってくれ」
ピアスホールを舌でなぞって催促すると、小さな口元から愛くるしい言葉がどんどん零れ落ちる。
「ん……みゃ、すき、メルヴィンさま、だいすきぃ……」
ルビーの秘所を弄る指が、きゅうきゅうと不規則に締め付けられる。
早く挿れたい……背筋がざわつき、思考が焼け付いていく。
性急に中をかきまわし、イイところを抉りながら、余った指で敏感な蕾も押す。
ルビーが腰をくねらせ、ブルブル震えだす。耳先をもう一度口に含み、内部を指で大きく抉ると、悲鳴とともに膣壁が激しく鼓動した。心臓がそこにうつったように鼓動は何度も繰り返し、奥から大量の蜜がどろりと溢れ出る。
寝台に胡坐をかいたまま、脱力したルビーの脚を大きく開かせた。腰をまたぐように向かい合わせに身体を降ろさせていく。
メルヴィンも額にびっしょり汗をかいていた。熱くぬめる場所に、一刻も早く自身を埋め込みたい。
「ふっ、ふみゃっ……ぁ……」
ルビーの体重と重力に従い、熱くてキツい蜜壷が、じりじりと屹立を飲み込んでいく。達したばかりの鋭敏な身体を串刺しにされ、ルビーが辛そうに呻いた。
宥めるように何度か口付けると、しだいにルビーの身体から強張りが取れ、メルヴィンも少しだけ余裕を取り戻した。
薄く開いたルビーの瞳は、とろんと恍惚の色を浮べている。
「辛くないか?」
ルビーの体重がかかっている分、奥まで埋め込まれた屹立が、より子宮口を深く押し上げている。
「ん……」
ルビーはコクンと頷いたが、自分で動く気力まではなさそうだった。もじもじ小さく腰をゆらしながら、メルヴィンの胸元に頬を押し当て、もたれかかる。
細い腰を両手で掴み、小柄で軽い身体をもちあげた。
「みゃっ!?」
引きつく時に、強く絡み付いている内壁まで剥がれてしまいそうな気がする。
先端が出そうなほど抜いてから、また深く押し込むと、ルビーはガクガク身体を震わせ達した。
激しく脈打つ内部に締め付けられ、メルヴィンは歯を喰いしばる。
「くぅぅんっ!みゃ、みゃぁぁ!!!」
「ルビー、ルビー、愛してる……」
今度はメルヴィンが、熱に浮かされるまま繰り返した。
あるものだけで満足し、常に他人を思いやる、獣人の見本のようなルビーが、自分の主義に反するほどメルヴィンを欲しがった。
ルビーとの温度差を自分がどれほど恐れていたか、思い知らされた。
水平と知った熱に安堵し、いっそうルビーが愛しくなる。
愛しすぎて、眩暈がする。
繋がったまま跳ね動く身体を組み敷き、欲で脳裏を真っ赤に染めたままルビーを貪った。
注ぎこみながら口づけし、重なった唇の合間で囁く。
「俺はもうとっくに、同族より俺を選べと要求したんだ。お前だって、自分を選ばせる権利がある」
――だからこれは、正当な等価交換《フェア・トレード》だ。
目を閉じたまま、荒い呼吸を繰り返すルビーには、聞えなかったか、聞えていてもよく通じなかったかもしれない。
それでもその可憐な唇が、少しほころんでいたように見えた。