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栗花晩景
【その他 官能小説】

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芽吹き編(1)-3

 前を行く古賀の手がクミの肩を抱き寄せたのが見えた。どきりとした。
(女に、触れた……)

「俺たち、あっちに行くから」
二人は樹木の密集している奥に消えていった。
 いきなりだったので私は少し慌てて辺りを見回し、とりあえず彼らと反対方向に向きを変えた。

 歩き出したものの、決め手になる所がなく、大きな樹が二股になった根元に腰を下した。根っこが尻に当たった。隣にハンカチを敷いた。
「ありがとう……」
「根っこ、痛くない?」
「少し痛い」
ミチは初めて笑った。

 目が慣れてくると表情までわかるようになって、それが癖なのか、口笛を吹くように唇を尖らせては私を窺った。
 胸がどきどきする。思い切って肩に手を回すとミチの方から身を寄せてきた。
(いい匂いだ……)
肌の匂い、髪の香り、汗のにおい。それらが混合されて鼻腔から胸の奥へと流れ、酔いしれる心地になった。
(女の体に触れている……)
柔らかい体は汗ばんでいる。子供の頃に抱きしめた佳代子を思い出した。その肉感は比較にならないほど豊かで熱い。

「仕事、何してるの?」
「工場……」
「何の工場?」
「パンの……」
「そう……」
話に意味はない。私は次のステップへのためらいの中にいた。目の前に胸の膨らみがあり、むっちりした太ももの奥には『アソコ』がある。

 ミチが俯いたのをきっかけに、抱きよせて唇を押しつけた。
(ああ、キスだ……女とキスしてる……)
ペニスはとっくに跳ね上がっている。化粧品の香りに頭がくらくらした。
 ミチは目を閉じている。そっと胸に手を当てるとミチが手首を押さえてきたが、拒否したのではない。
 ブラウスの上からでも体温が生々しく伝わってくる。揉むと、柔らかさと、思いのほか弾力がある。ミチは溜息混じりの声を洩らした。
(感じてるんだ……)
何度もキスをして、胸を揉んだ。二人の鼻息が顔を被い、汗が噴き出し、昂奮で混乱しそうだった。

「うう……」
気がつくと無意識のうちに声を出していた。ズボンと太ももに圧迫されたペニスは限界の硬直で身動きができない。扱いてもいないのに星の瞬きのような射精の兆しがあらわれた。
 胸のボタンを外そうとするとミチが拒んだ。
「いいだろう?」
「だって、見えちゃう……」
辺りを窺うと人の気配はない。
「誰もいないよ」
「通ったら見えちゃう」
「暗いからだいじょうぶさ。隠してあげる」
約束のはずだ、と、強引に胸をはだけながら、私は手を止めた。やり取りをしているうちにますます暴発の感覚が迫ってきたのである。もしここで射精してしまったらとても恥ずかしいと思った。

 動作を中断してミチを抱いたままじっとしていた。彼女の乱れた息が喉元に吹きかかり、ペニスはズキンズキンと脈動している。噴射の進行は何とか停滞したが下手に動くと危ない状況であった。
 近くの道路を車が走り抜けていく。ときおりどこかで人の笑い声が聞こえてきたが、この一画には誰も来ない。蚊の羽音は絶えず、座った時から包囲されていたが気にしている余裕はない。
     
「可愛いね」と私は囁いた。ミチは上目使いで私を見上げた。
「ありがとう……」
恥ずかしそうに応えた。私は正直に可愛いと思った。
 ミチの膝に手を置いた。どうしてもアソコを確認しなければならない。思い切ってスカートの裾に手を入れ、
「触っていい?」
ミチの髪に顔を押しつけて訊いた。やや間があってから、
「ちょっとなら……」
そう言って小さく吐息した。太腿の肉付きがいい上に汗ばんでべとべとなので容易に奥へ進めない。片脚を引き寄せて開かせると、ミチは心持ち腰を浮かせて座り直した。

「ちょっとよ……」
「うん……」
指がデルタの膨らみに触れたとたん、ふたたびペニスの脈動が活発になった。
 下着は温かく湿っている。『その部分』は胸よりもぷよぷよしていた。
股の付け根から指をくぐらせようとするが下着と肌が密着していてなかなか入らない。突き当りで手間取るもどかしさに気がせいてペニスの状況は切迫してくる。
「きついな……」
余裕を見せるつもりの言葉は上ずっていた。ミチが脚を開いてくれてようやく下着を抜けた。まさぐる間もなく陰毛に触れ、ぬるりと指が秘裂に納まった。
「あ、ああ、いや……」
ミチの呻きに続いて私も声を洩らしてしがみついた。
「ああ……」
あっという間に射精した。どうしようもなかった。体の痙攣を悟られまいと指を動かしてわざと体を揺すった。

(ミチは気づいただろうか……)
知られたくない……。どっと汗が噴き出した。その時、人の足音がして慌ててミチから手を離した。


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