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『清子と、赤い糸』
【幼馴染 官能小説】

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『清子と、赤い糸』-24


 きーんこーん、かーんこーん……

「よ、予鈴やな。はよいかんと、授業に遅れてまうよ」
「そ、そうだな」
 唇に初めての甘い余韻を残しつつ、清子と岡崎は、“全世界公認のベスト・カップル”の称号にふさわしい雰囲気を纏いながら、“逢引の木陰”を後にしていた。
 一度、キスをしてしまえば、心の抑制は外れる。清子と岡崎は、節度は持ちつつも、事あるごとに唇を重ねあうようになり、その繋がりを更に深いものにしていった。
 手を繋ぎ、唇を重ね、あと残るものといえば、お肌の触れ合いである。
(うわぁ、あかん、あかん、あかんって!)
 清子はそれを想像して、一人部屋で悶えること仕切りであった。
(まーちゃんと、ウチが、あんなこととか、こんなこと……)
 う、と、清子は鼻を押さえた。興奮が過ぎて、鼻血が出そうになったからだ。思春期の妄想は、身体に大きな影響を与えるくらいに、爆発するものである。
「きよちゃんは、岡崎クンと、エッチしたん?」
「ぶほっ!」
 美依子からまさかの“ヘビー・パンチ”を食らい、一発KOされたこともあった。
 ちなみに、“純真可憐”な雰囲気を持つ美依子だが、実はもう“彼氏”がいて、しかも、やることはやっているという。クラスの中でも目立たない、地味な装いの美依子だけに、それを知っている者は清子以外にはいない。
(美依子、なんて、恐ろしい子!)
 だからこそ色々と“そっち方面”の相談も出来るのだが、幼稚園の頃から知っている女友達が、実はもう“処女”ではないと知ると、時の移ろいの残酷さを、清子はいやがうえにも意識してしまうのだった。
「あら、清子ちゃんじゃない」
 スーパーで、夕飯諸々の材料の買出しに来ていた清子は、青果売場にてとある女性に声をかけられた。
「あ、こんばんは、摂子さん」
「こんばんは、清子ちゃん」
 “摂子さん”と、清子が呼んだこの女性は、岡崎の母親である。小学校のときから知っている顔であり、また、このスーパーでもよく顔をあわせていたので、岡崎と“彼氏彼女”の関係になる前から、摂子とはかなり親しくなっていた。
「今日は、衛といっしょじゃないの?」
「そ、そういう日も、あるんです」
 とは言え、今では“彼氏の母親”なので、清子のイントネーションが“にわか標準語”になるぐらい、彼女は緊張を覚えている。
「そうだ。実は、清子ちゃんにお願いがあってね……」
「?」
「わたし、明後日からちょっと、仕事の関係で1週間ほどデンマークに行かなくてはいけないの。その間、衛を家に一人にしてしまうんだけど、衛のこと、清子ちゃんにお願いしておきたいのよ」
 “あの子、ああ見えて、ライフスキルが足りないところがあるから、御飯ちゃんと食べるか、心配なのよねぇ”と、摂子は困ったように首を傾げて見せた。
「少しは、作り置きもしていくつもりだったけど……」
 それが1週間分となると、どれだけ用意したものか、摂子は少し悩ましく思っていたのだ。
「わかりました! 摂子さん、ウチに、まかしといてください!」
「うん、やっぱり、清子ちゃんにお願いしておくわ。衛も、“彼女の手作り”の方が、ちゃんと御飯、食べるだろうし……」
 “1週間分のお財布は、衛に預けておくから、自由にしてね”と、岡崎の母親は買い物袋を片手に、清子より先にスーパーを後にしていった。
「ちゅうわけで、来たわ」
「お、おう」
 著名な児童文学の研究者である摂子が、フォーラムに招かれたことでデンマークへ向けて出発した日、入れ替わるようにして、清子が岡崎宅に姿を表した。転居を繰り返している岡崎母子だが、この地区に越してきた時は“借家住まい”をしていて、ひょっとしたら長い期間の居住を考えてのことかもしれなかった。
「まーちゃんとこの“システム・キッチン”、使ってみたかったんやぁ」
「そ、そうか」
 セーラー服の上からエプロンを着込み、両手に抱えていたスーパーの袋からてきぱきと食材を取り出して、夕飯の用意を始める清子。岡崎はその姿に、沸いてくるような何かを抑えこみながら、視線を注いでいた。


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