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【純愛 恋愛小説】

花の最初へ 花 2 花 4 花の最後へ

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「花屋です。花束のお届けです」

「どうぞ、入ってください」

家の中から声がしたので、花はゆっくりとドアを 開けました。

「失礼しま……」

花は驚きました。

目の前に、あの人が立っていました。

「あの……」

「どうしました?…すみません、僕、目が見えな くて」

「え…」

やっと出会えた『あの人』の目は、





光を失っていました。

「でも、耳は聞こえますから。花束は、そこに置 いておいてください」

「あの、あの、私……っ!」

花なんです―――!

なんて言っても、信じてもらえるだろうか。

口が動かなかった。

「……?」

「し、失礼しました!!」

花は走ってその場を去りました。

嬉しさと、驚きと、切なさが花の頭をぐちゃぐ ちゃにしました。

目が、見えない…?あの時は見えていたのに。

あの花束は、誰へ―――?女の人かな

いろんなことを考えながら、花屋へと戻りまし た。

「早かったね。顔が真っ赤だよ、どうしたんだ い?」

「なんでもありません!大丈夫です!さぁ、お仕 事お仕事!」

「すっかり働くのが好きになったねぇ」

女主人は笑みを浮かべました。




花はそれから、彼の家に毎日通いました。

変な人だと思われないように、お店のサービスと いい、

自分で買った花を毎日一本ずつプレゼントしまし た。

「こんにちは!今日もサービスの花をお届けにき ましたよ」

「いらっしゃい、待ってたよ」

花は随分、彼と仲良くなることができました。

「今日もお茶、飲んでいくんだろう?」

「はい!いただきます」

花はやはり、彼といる時が一番の幸福な時間でし た。

「ずっとお聞きしたかったんですけど…」

「なんだい?」

「最初私がお届けした花束…あれ、女性へのプレ ゼントですよね?」

「そうだね」

やっぱり…

「死んだ母に、供えたんだ」

「え…貴方の、お母様?」

てっきり若い女性に渡したのだと思っていた花 は、きょとんとした表情をしました。

同時に、嬉しくもありました。

「やっぱり、優しいんですね…」

「やっぱり?」

「いいえ、なんでもないです」

しばらく話していると、彼は自分の目のことを話 し始めました。


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