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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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幻影-11

 彼女とあの少女の違いはなんなのだろう。

見た限り少女も少なからず依存心が芽生えつつある。

いつかこうなるのだろうか、と僅かな可能性を思い耽ってもみるが、行き着く答えは全て否であった。

アズールが二度も同じ過ちをするはずがない。

そして、あの眼差し。

「・・・・・どちらにしても面白いけどね」

ぽつりと一人ごちたノアは唐突にイルの唇に自らの指を突っ込み、舌を引きずり出すように喉の奥を掻き回す。

嗚咽と共に身震いした彼女の秘部から粘着質で透明な体液が滴り落ちる。

面倒な荷物を抱えれば抱えるほど、アズールは弱味を増やしていく。

強固なまでに固められた冷静さにも、直に綻びが生じてくるだろう。

正直なところ、個人的には蔑むにも値しない奴隷以下のこの女の存在は、ノアにとって見るに絶えない忌々しいものである。

が、アズールの余裕を磨り減らしていく駒ならば、もう暫く様子を見ても悪くないのかもしれない。

「はい、お仕舞い。悶えながらいつ来るか分からないアズールを待ってなよ。我慢すればするほど悦びも大きいでしょ?」

微量の魔力を注がれ火照りだした肌を一瞥して、恨めしげに唸るイルから身を引く。

「殺されたくなんかない。・・・愛しているから、俺が殺すんだよ」

踵を返したノアは声にならない声で、誰に告げることもない牽制を吐き出した。


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