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中道深夜探偵事務所へようこそ
【フェチ/マニア 官能小説】

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男性恐怖症-2

静かにジャズピアノが流れるラウンジの館内。

「中道深夜探偵事務所へようこそ。執事の坂井でございます。以後お見知りおきを」
政夫は、この白髪頭の老人に案内されるまま事務所へ入室した。

そこにはカッチリした背広姿の少年がいた。というか、どこか中性的な雰囲気も醸し出している。しかし、それはニューハーフのソレとは違って、もっとミステリアスなものだった。
「こんばんは。代表の中道でございます。さあこちらへ」
少年は名刺を差し出してきた。名刺には確かにそう書いてあった。

何かの冗談だろ。それとも誰かの悪戯なのか。この場違いとも思える豪奢な事務所もだが、それよりも、こんな子供が私の相談相手になってくれるとでもいうのか。馬鹿にしてるよ、全く。
「お帰りになられます?」
清涼感のある声で少年が尋ねてきた。何なんだコイツは?
私は表情に出ないタイプだ。なのに、この少年に見透かされてるとでもいうのか。
ふっ、まさかね。でも面白そうだ。話だけでもしてやろう。私は応接場のソファーにどっぷりと腰を下ろした。
その時だった。
「うわっ!?」
目の前に少年が顔を近づけ、私の目をじっと見ていたのだ。何なんだ気持ち悪い。思わず身を引いてしまった私を見て少年はケタケタ笑っている。
「これは失礼しました。少しばかり貴方に興味を持ったものですから」
お、脅かすなよ。あっちの趣味があるのかと思ったじゃないか。この少年…そうだ、中道だったな。
「中道さんも冗談きつい」
「どうもすみません」

「失礼します」
執事の坂井がコーヒーをテーブルに置いて一礼してきたので私は一口頂いた。うん、いい香りだ。

「本当にすみませんでした、政夫さん。ところで、どのようなご用件で?」
中道はコーヒーをすすりながら尋ねてきた。
「あのですね、実は妻が男性恐怖症でして」
「それは厄介ですね」
「中学時代に暴漢に遭ったようなんです。それ以降、男性に対してはセックスの拒否反応を示すんですよ。私もその1人で」
「触れるのもダメとか?」
「そこまでではありませんが、不快にはしています。勿論、キスもダメで」
「で、貴方は夜の営みが出来なくて困っていると」
「いや、そこまでは」
中道は少し考えていた。
「明日ご予定は?」
「日曜日ですね。多分、大丈夫だと思いますが」
「奥様のほうは?」
「大丈夫だと思いますが。というか妻に用でも?」
「奥様には我が傘下の医療施設で検査を受けて頂こうと思っております」
「でも、医療関係は片っ端から当たりましたが、何処の施設に行っても…」
「我がネットワーク組織を舐めて貰っては困る」
「はぁ?」
「その辺の医療施設とは訳が違うということ。トータルで治療するのです」
「はぁ」
「勿論、検査料は無料。車も当所から手配します」

うーん、全てを信じた訳じゃない。そう。全てを信じた訳じゃないんだが、万が一の可能性がないとも限らない。まあ、どうせ無料なんだしな。私は中道の提案を飲んだ。


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