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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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接触-6

 一方的な侮辱にも女は唇から涎を垂らし、不自由な腰を揺さぶる。

「イル、駄目だ。俺が言うまでイクんじゃない」

「あっあっだめぇっ!気持ちいいの!もっと!」

ゆるゆると打ちつけるアズールにイルと呼ばれた女は怒声にも似た叫びを上げ、全身を押し付ける。

片足を膝から持ち上げられ殆ど宙吊りになったイルは、奥に突き刺さる熱い快楽と、あと一歩絶頂に届かない微弱な摩擦のもどかしさに狂ったように矯声を喚く。

「アズール、ああ、今日はやっぱりご機嫌斜めなのね、ああっ・・ふ、あ、あはは!」

「・・どうしてそう思う?」

「だっ、て・・・貴方、いつもより熱いわ。イキたいって、貴方の血がそう叫んでるのが分かる」

「勝手な憶測だね」

「私は貴方にしか感じない体なのよ?貴方がそうしたの。だから余計、分かるの。慰めてあげるわ、アズール」

ねっとりと粘着質な声が鼓膜を食み、アズールは心中で舌を打つ。

シウの体液を解毒せずにここへ来たのは、彼女の身体にその熱をぶちまける事に意味があったからだ。

彼女の言葉は真実であり、イルは彼の魂にしか反応を示さない。

忠実な性奴隷になるはずだった彼女は、調教の際にその精神を狂わせた。

実験的に用いたサキュバスの体液が過大に作用してしまった為、体内に規定以上の催淫効果を持ってしまったのだ。

抗体を持たない彼女は中毒症状を引き起こし、今や定期的にサキュバスの体液を流してやらなければ半狂乱に陥るほどに悪化している。

後に、それは自殺行為とも取れる彼女自身の仕業だと判明したのだが。


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