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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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接触-5


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 窓のない地下はカビ臭く、設けられた空調も備蓄された様々な薬品や器具の多さに循環は追い付かない。

それらが発する独特の匂いは混ざり合い、歩を進めるにつれて濃度を増し鼻腔にこびりつく。

「いらっしゃい、アズール」

そんな殺伐とした薄暗い空間に、落ち着いた女の声は凛と響いた。

魔術書の棚から列なる一角、場違いな裸の女は天井から吊り下げられている。

背中をピタリと壁に寄せ、天井に引っ張られるように大きく広げた両腕をピンと伸ばして、目隠しされた女は書棚から現れたアズールに顔を向け口端だけで微笑む。

爪先が漸く地面に届く程度の磔。しかし彼女の顔に苦痛の色は窺えない。

「アズール、今日はご機嫌斜めなのね。それに何だか息が乱れているわ」

「煩い」

「ふふ、そんな貴方も素敵よ・・・・ッああっ」

投げ掛けられる言葉を嬉々とした悲鳴にすり替えられ、女は壁に預けていた背中をグイと仰け反らせる。

人一人分の間合いを空けたまま、アズールが剥き出しの女の乳首を捻り上げたのだ。

無遠慮に、他のどの場所にも触れず両の突起部だけをつねる指先。

無機質でカビ臭い地下に腕を戒める鎖がガシャリと音を発てる。

「ンッああっアズール!もっと!もっとちょうだい!もう堪らないの、私、ずっと待っていたのよ?早く私をいたぶって!」

「・・・煩いと言ってるだろ?」

腕を引き千切らんばかりに腰をくねらせ乳房を突き付けてくる女にアズールは短い嘆息を溢し、指の中で固くしこった蕾をギリギリと磨り潰す。

それだけで絶頂を迎えようと見えない天を仰ぐ女に、アズールは矢継ぎ早、既にいきり立った自身を宛がい一気に突き立てた。


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