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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-3



瑞稀と恵梨は、5限目の授業をサボる事にして、部室である音楽室に来ていた。
理由は、さっきのことを詳しく聞くためだ。
瑞稀はとりあえず、もう一度結果だけ先に伝えた。

「アメリカにある、ウィーンオーケストラに、4年契約で一緒にやらないかって誘われた。」
「・・すっご・・。もうこれしか言葉ないよ・・。」
「・・・私でも、言葉が出ない・・」
「4年って・・お試し・・とか?」
「うん。とりあえずって形で、気になったら辞めるまで居て欲しいって。」
「・・・・・・・凄すぎて・・」

夏のフェスティバルで団体賞に貢献しただけでなく、最優秀演奏者賞という個人賞を受賞したことで既にこれ以上ない位喜んだのに。
進化を続ける親友に、かける言葉が見つからない恵梨は感嘆の溜め息しか出ない。

「で・・瑞稀は返事した・・?」

自分のことにはまるで放ったらかしの親友は、どういう風に言ったのか。
やっと動いた脳で最初に思いついたことだった。
瑞稀はその問いに苦笑した。

「まさか。家族とも話し合ってないのに独断で言えないし・・。まず、相手がビデオレターだから返事は三日後。その時は直接、テレビ会話で話すって。」
「そっか。まあ・・・それもそうだね」

確かに、下手したらこのことで瑞稀の一生が決まってしまうかもしれない。
今まで育ててくれた者たちに何の相談もなく、一人で決めようとするほど瑞稀は子供じゃない。だが、希望くらいはあるはずだ。

「・・・瑞稀は、行きたい?」
「え?」
「アメリカで・・トランペット吹きたい?」
「・・うん」

少し間があったがはっきりうなずいた瑞稀に、本音を聞けた喜びと居なくなってしまう寂しさを感じた。故に、聞いた。

「もし、行くって返事したら・・・いつ行くの?」
「・・・ビデオレターには、三週間後に来て欲しいって」
「!?そんなに早く・・!?」

高校を卒業してからとか、一年経ってからとか・・そんな風に一瞬考えていた。
だが、予想を大きく上回ってしまった。

恵梨は、顔を俯かせた。泣きそうな顔を見せないように。
なんとか口を開いて、言葉を発しようとする。しかし、出るのは震えて言葉にならない声。
聞きたい、言いたいことが次々と浮かぶ。だが、それらを告げることは出来ない。
何故なら・・もう決めたと言わんばかりの真剣な表情で自分を見る親友に気付いているから。
あんなに自分のことに興味を持たない瑞稀が、ここまで覚悟を決めた道先なのだから。
恵梨は、一つ大きく息を吐くと、瑞稀の顔を真正面から見据える。




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